令和2年(2020年)の株式相場がスタートしました。米国とイランの間で紛争が激化する兆しをみせるなど、何やら波乱の香りが強く漂いつつあるようです。そうした中、少しでも有用な投資情報を提供すべく努力したいと思います。本年も「日本株投資戦略」をよろしくお願い申し上げます。

さて、年が改まるとともに、NISA(少額投資非課税制度)の非課税枠(120万円)についても、新たに2020年の分が使えることになります。NISAの特徴は株式投資であれば、値上がり益のみならず、配当についても非課税の対象になることです。したがって、同じ投資元本でも、期待できる配当の額が多いほど、NISAを有効に活用できるとも言えます。

そこで「日本株投資戦略」では、1銘柄20万円未満で投資でき、好配当が期待できる銘柄を抽出してみました。業績悪によるリスクを抑える工夫もしていますので、ご参考にしていただければ幸甚です。

20万円未満で買える好配当・好業績銘柄はコチラ!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

それではさっそく、スクリーニングを行って銘柄の抽出を試みたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額1,000億円以上の銘柄であること
(3)広義の金融に属さない銘柄であること。なお、同一業種は最大2銘柄を限度にしました
(4)12月決算以外の銘柄であること
(5)来期も配当が減らないと市場で予想されている銘柄であること
(6)四半期累計の営業増益率が今期会社予想営業増益率を上回っている銘柄であること
(7)上記の条件を満たしていない場合、四半期累計営業利益の進捗率が「標準」以上の銘柄であること
(8)会社予想営業利益が未公表の場合、四半期累計の純利益増加率が今期会社予想純利益増加率を上回っている銘柄であること
(9)上記の条件を満たしていない場合、四半期累計純利益の進捗率が「標準」以上の銘柄であること
(10)最低売買単位(100株)での投資金額が20万円未満の銘柄であること

上記のすべての条件を満たす銘柄を市場予想配当利回りの高い順に並べたものが表1となります。銘柄数は全銘柄に100株ずつ投資しても120万円未満に収まるよう調整し、今回は9銘柄としました。

なお、結果的に掲載銘柄のすべてが3月決算銘柄となりました。(7)や(9)にある「標準」とは、3月決算銘柄の場合、第2四半期までの累計営業利益等の進捗率が通期会社予想の50%以上になっていることを示しています。

20万円未満で買える好配当・好業績銘柄
(画像=SBI証券)

表1 20万円未満で買える好配当・好業績銘柄~2020年の「NISA」はコチラで!?
コード / 銘柄 / 株価(1/9) / 市場予想今期配当 / 予想配当利回り
<9434> / ソフトバンク / 1,468 / 85.82 / 5.8%
<4188> / 三菱ケミカルホールディングス / 806.6 / 39.23 / 4.9%
<7731> / ニコン / 1,376 / 60.00 / 4.4%
<4182> / 三菱瓦斯化学 / 1,630 / 70.00 / 4.3%
<8031> / 三井物産 / 1,981.5 / 81.00 / 4.1%
<9503> / 関西電力 / 1,247 / 50.00 / 4.0%
<9506> / 東北電力 / 1,050 / 40.00 / 3.8%
<5938> / LIXILグループ / 1,875 / 70.00 / 3.7%
<9412> / スカパーJSATホールディングス / 484 / 18.00 / 3.7%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。予想配当利回りは、今期実施または実施予想のすべての配当金を受け取ったと仮定した場合の利回りです。

好配当銘柄投資の注意点

予想配当利回りは、予想1株配当金を株価で割って求められます。したがって、予想1株配当金や株価が変動すれば当然異なる値になってきます。前者は会社の配当政策の変更等によって変わりますし、会社の配当政策はその会社の業績によって変わります。また、株価は常に変動しています。すなわち、予想配当利回りも常に変動するものです。

なお、予想1株配当金の「予想」は会社予想であったり、アナリスト予想であったり、その平均(市場コンセンサス)であったり、会社四季報等であったり、様々な数字が存在しています。予想配当利回りのデータを利用して投資する時は、予想の主体がどこにあるのか、十分注意することをお勧めします。今回の分析では、市場コンセンサスを用いています。

そもそも、市場コンセンサスによる分析が可能な銘柄とは、初めからアナリストが調査対象にしている(カバーしている)銘柄に絞られるという特徴があります。また、会社予想配当をなかなか発表しない銘柄もあるので、それらの銘柄を分析対象にできるメリットがあります。重要なところでは、トヨタ自動車(7203)は現時点でも、会社発表の予想期末配当は「未定」となっており、会社予想を分析対象にしてしまうと、同社は最初から分析対象外ということになります。

なお、配当利回りの計算のベースになる予想1株配当金は、年間に受け取るすべての配当金を指しています。したがって、中間配当が予想されている銘柄では、9月末の配当を受け取らない場合、3月末の配当だけを受け取っても、表記の予想配当利回りを確保することはできません。例えば、新明和工業(7224)の場合、中間配当が記念配当込みで高額になっているため、いっそうの注意が必要です。なお、今回(5)の条件を入れたのは、配当の基調的な方向感をスクリーニングに反映するためです。

上述したように会社の配当政策は、多くの場合、その会社の業績によって変わります。業績が予想よりも悪化し、配当予想が減額されるようでは、当初期待していた配当利回りを確保できなくなりますし、おそらく株価下落で損失発生も懸念されます。そこで、冒頭のスクリーニング条件に(6)~(9)を入れることで、業績予想の下方修正リスクを軽減することを狙っています。ここでは、これらの条件を満たした銘柄を「好業績」と表現しており、必ずしも増益銘柄になっていない点をご注意ください。

なお、業績下方修正による場合も含め、株価下落リスクをコントロールするには分散投資を検討することもお勧めします。表1の銘柄の場合、すべての銘柄に100株ずつ投資しても、合計投資金額(諸コスト未考慮)は120万円弱で済む計算です。なお、分散投資する時は、同様の銘柄に投資することは避けるのがセオリーです。表1の場合、同一業種のものは、2銘柄までに制限することにしました。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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