新型コロナウイルスの感染者数が引き続き増加し、世界的に予断を許さない状況が続いています。しかし、株式市場は一時期に比べれば、落ち着きを取り戻しています。政府や中央銀行の対策が出揃ってきたことや、新型コロナウイルス感染者数の増加速度がピークアウトする兆しを見せ始めたことが要因と考えられます。事実、米国では4/16(木)にトランプ大統領が、新型コロナウイルス新規感染者数について、ピークアウトした可能性を示唆しました。また、株価が大きく値下がりし、値ごろ感が強まった銘柄も多くなってきました。

こうした中、安倍首相は4/16(木)、緊急事態宣言の対象を全国に広げることを表明しました。すでに宣言の対象になっていた東京など7都府県を含め、5/6(水)まで、全国の知事は国民に外出自粛などを要請できることになります。そこで、今回の「日本株投資戦略」ではこうした環境下で人々の生活防衛に貢献できる上に、業績が好調で、株価上昇も期待できる銘柄の抽出を行ってみました。

「緊急事態宣言が全国に拡大」で生活防衛に貢献&株価上昇期待の好業績銘柄はコチラ!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

株式市場は世界的に落ち着きを取り戻してきました。政府や中央銀行の対策が出揃ってきたことや、新型コロナウイルス感染者数の増加ペースがピークアウトする兆しを見せ始めたことが要因と考えられます。4/16(木)に米国では、トランプ大統領が、新型コロナウイルス新規感染者数について、ピークアウトした可能性を示唆し、同日の米国株式市場(特にナスダック市場)および翌日4/17(金)の東京株式市場は買いが先行する展開になっています。

こうした中、安倍首相は4/16(木)、緊急事態宣言の対象を全国に広げることを表明しました。すでに宣言の対象になっていた東京など7都府県を含め、5/6(水)まで、全国の知事は国民に外出自粛などを要請できることになります。4/17(金)の日本株高はこうした対応や国民1人当たり10万円の現金支給案などを好感して上昇しています。

そこで、今回の「日本株投資戦略」ではこうした環境下で人々の生活防衛に貢献できる上に、業績が好調で、株価上昇も期待できる銘柄の抽出を行ってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部または2部上場銘柄であること。
(2)時価総額500億円以上の企業であること。
(3)2月決算銘柄で、決算発表が終了した銘柄であること。
(4)第4四半期(2019/12~2020/2)が前年同期比10%超、営業増益の銘柄であること。

(1)~(4)の条件をすべて満たし、(4)に掲げた四半期の営業増益率(前年同期比)が高い順に並べたものが表1となります。

(1)および(2)を満たすことで、株式市場から一定以上の信認を得ている銘柄であると考えることができます。また、(3)を満たしていることで、当面は業績予想が下方修正されるリスクは小さいと考えることができます。

なお(3)の条件にある2月決算銘柄は、業種的に小売等が多く、食品や医薬品・化粧品など、新型コロナウイルス流行下でも需要が減退しづらい生活必需品を扱っている食品スーパーやドラッグストア等が抽出されやすいという面があります。さらに、(4)の条件により、新型コロナウイルスが流行し始めた時期を一部含んでいるため、その感染拡大が長期化しても、業績的にむしろ、拡大が期待される銘柄が中心になると期待されることになります。

「緊急事態宣言が全国に拡大」で生活防衛に貢献&株価上昇期待の好業績銘柄
(画像=SBI証券)

表1 「緊急事態宣言が全国に拡大」で生活防衛に貢献&株価上昇期待の好業績銘柄はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(4/16) / 4Q営業増益率 / 備考
<6183> / ベルシステム24ホールディングス / 1,077 / 167.1% / コールセンター受託
<9740> / セントラル警備保障 / 4,140 / 91.7% / 機械警備に注力
<8198> / マックスバリュ東海 / 2,144 / 69.9% / イオン系食品スーパー
<8287> / マックスバリュ西日本 / 1,508 / 65.6% / イオン系食品スーパー
<3141> / ウエルシアホールディングス / 8,680 / 41.2% / イオン系ドラッグストア
<8217> / オークワ / 1,500 / 38.2% / 和歌山地盤スーパー
<2742> / ハローズ / 2,777 / 36.5% / 中国四国食品スーパー
<7649> / スギホールディングス / 6,250 / 21.3% / 愛知本社ドラッグストア
<9974> / ベルク / 6,050 / 17.9% / 埼玉中心食品ストア
<8125> / ワキタ / 1,007 / 17.6% / 建機レンタル
<8194> / ライフコーポレーション / 3,400 / 17.3% / 食品中心スーパー
<3050> / DCMホールディングス / 1,033 / 14.0% / ホームセンター最大手
<3222> / ユナイテット・スーパーマーケット・ホールディングス / 1,041 / 11.1% / 首都圏地盤スーパー
<9793> / ダイセキ / 2,240 / 10.8% / 廃油・汚水処理

※各社株価データ等をもとにSBI証券が作成。4Q営業増益率は2019/12~2020/2期の営業増益率(前年同期比)。

抽出銘柄の投資ポイント・注意点

東京株式市場では、4月下旬以降、3月決算銘柄の決算発表が本格化する予定になっています。すなわち、今後は3月決算銘柄が決算発表後に業績変動で動くケースや、それらの決算発表前に業績予想修正を理由に動くケースが出てきます。新型コロナウイルスの世界的流行に伴う景気悪化を背景に、業績が好転する銘柄は少ないと予想されます。

そうした中、決算発表を終えた2月決算の銘柄であれば、業績下方修正リスクを軽減できる上、業績好調な小売等が多く、投資家から選好されやすいと考えられます。ちなみに、表1の銘柄のうち、小売業に属する銘柄と、その概要は以下の通りです。 ※コメントの中で既存店売上高の増減は前年同月比です。

・マックスバリュ東海(8198)・・・静岡県地盤の食品スーパー。3月既存店売上高は8.8%増。今期は営業利益17.5%増(会社予想)。
・マックスバリュ西日本(8287)・・・兵庫県地盤の食品スーパー。今期は営業利益27.6%増(会社予想)。
・ウエルシアホールディングス(3141)・・・イオン系ドラッグストア。3月既存店売上高は6.1%増。
・オークワ(8217)・・・和歌山県地盤のスーパー。3月既存店売上高は12.5%増。今期は営業利益7.3%増(会社予想)。
・ハローズ(2742)・・・中国四国地方地盤の食品スーパー。3月既存店売上高は6.1%増。全従業員に支援金を支給。
・スギホールディングス(7649)・・・愛知県が本社のドラッグストア。3月既存店売上高は14.0%増。全従業員にボーナス支給で話題。
・ベルク(9974)・・・埼玉県中心の食品スーパー。3月既存店売上高は15.0%増。
・ライフコーポレーション(8194)・・・食品主体のスーパー。3月既存店売上高は6.9%増。
・DCMホールディングス(3050)・・・ホームセンター最大手。3月既存店売上高は4.2%増。
・ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディグス(3222)・・・首都圏地盤の食品スーパー。今期は営業利益6.9%増(会社予想)。

ここでご紹介したように、食品スーパーやドラッグストアは、ほぼ例外なく、3月の既存店売上高が前年同月比で増えており、今期も順調なスタートを切ったと理解することができます。その他の業種の銘柄については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を別途検討する必要もでてきそうです。このうち、ベルシステム24HD(6183)については、4/8(水)に、2020年2月期が前期比29%の営業増益となる好調な決算を発表しましたが、業績予想の公表を延期したため、4/9(木)に株価が下落する場面がありました。

図1 ハローズ(2742)・日足

ハローズ(2742)・日足
(画像=チャートツールを用いてSBI証券が作成)

図2 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222)・日足

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222)・日足
(画像=チャートツールを用いてSBI証券が作成)

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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