(本記事は、株式会社フェイスネットワーク蜂谷二郎氏の著書『不動産活用で資産を守る 相続対策50の新常識』税理士法人チェスター監修の中から一部を抜粋・編集しています)
Q人口が減る日本で不動産の価値は下がるだけですよね?新型コロナも影響しそう…
需要の高い・低いで資産価値は二極化。居住用にコロナの影響は見られない!
●少子高齢化で不動産市場の需給が悪化すると言われるが…
日本では他の先進国を凌ぐピッチで高齢化が進んでいることは、すでに広く知られていることでしょう。併せて出生率の低下にも歯止めがかからず、いわゆる少子高齢化で総人口の減少傾向が続いています。
国立社会保障・人口問題研究所が算出した将来推計によれば、2015(平成27)年に実施された国勢調査において1億2709万人だった総人口は、2065年に8808万人に減少する見通しです。また、2015(平成27)年の時点で26・6%だった老年人口の割合は、2065年に38・4%まで拡大すると予測されています。
そうなれば、相続の発生件数も増加するのは必至でしょう。すでに全国各地で空き家問題が深刻化しているように、相続した実家に子どもが住まないケースも多く、今後はさらにそういった物件が続々と売りに出されることが想定されます。
一方で、マイホーム購入の中心世代である30〜40代の人口は減少傾向が続きます。こうして需要が低迷する中で空き家をはじめとする供給ばかりが増え、不動産価格には大きな下落圧力がかかると言われています。
●日本の総人口が減っても、逆に増え続けていくエリアが点在している
しかしながら、「少子高齢化で日本の不動産市場は低迷する」との指摘は、「木を見て森を見ず」ということわざの逆パターンではないでしょうか?確かに森(日本全体)を見渡すとそのような傾向がうかがえるかもしれませんが、個別の木(エリア)に焦点を当てると、状況が大きく異なっているケースが考えられるのです。
その一例として挙げられるのは、都心にアクセスしやすいロケーションにありながら、自然も豊富に残されている世田谷区です。同区が公表している将来人口推計によれば、その総人口は一貫して増加傾向が続き、2042年には108万7275人に達し、2017年と比べて約19万人も増加するとのことです[図1-8]。
さらに注目したいのは、世田谷区における人口ピラミッドの変化です。現状は40代前後が人口構成のピークとなっており、それらの世代が年齢を経るにつれて次第に上方に移動していくものの、10代後半〜20代の世田谷区への転入超過が続くことが想定されます。
その結果、2037年には20〜30代が占める割合がかなり増加すると推測されているのです。それらの世代は結婚して子育てをする場所としても世田谷区に転入すると目され、出生の増加によって年少人口も下方から増加傾向を示すと予測されています[図1-9]。
こうして住む人が増えることが見込まれているエリアでは、不動産価格が下がるどころか、むしろ上がる可能性さえ考えられそうです。そして、比較的若い世代の割合が増えていけば、着実に賃貸需要が見込まれることでしょう。
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