(本記事は、株式会社フェイスネットワーク蜂谷二郎氏の著書『不動産活用で資産を守る 相続対策50の新常識』税理士法人チェスター監修の中から一部を抜粋・編集しています)
Qわが家のことを熟知している顧問の先生に任せておけば大丈夫ですね?
相続に詳しい専門家は意外と限られている!
●所得税や法人税の税務に詳しい人は、相続税の専門家にあらず
まず、冒頭で確認しておきたいことがあります。
もしも、このページを読んでいるあなたが重篤な病気を患っていて、手術の必要を迫られていると仮定したら、外科医と内科医のどちらに執刀を任せるでしょうか?
もちろん、あなたがどのように答えるのかはわかりきっているうえで、あえてこうした質問を投げかけてみました。
なぜなら、現実の相続の世界においては「内科医に手術を委ねる」といったようなケースが少なくないからです。
顧問の税理士に個人の所得税や法人の法人税などの申告を毎年依頼している家庭では、相続が発生した際にもその手続きを委ねているケースが多いかと思われます。
おそらく「税金の専門家なのだから……」と考えてのことでしょうが、それは「医学の専門家なのだから任せて安心だろう」と思って、内科医に手術を依頼するというパターンに近い行為だと言えるでしょう。
●相続税の申告には、不動産などの資産を適切に評価する専門性が求められる
一口に医学と言っても非常に領域が広いように、税務も所得税や法人税と相続税では求められる専門性が異なってくるものです。相続税の申告においては、預貯金や有価証券、不動産といった多岐に渡る資産の「相続税評価額」を的確に算出することが大前提となり、そのためには各資産の特性や適用可能な税制上の特例などをくまなく把握しておく必要があります。
しかしながら、税理士の大半は所得税や法人税の申告をもっぱら守備範囲としており、相続税に詳しい専門家は意外と限られているのが実情です。だからこそ、相続税の申告手続きに間違いがあって、税金を過払いしているケースが後を絶たないのです。
過払いが発覚した場合も、相続税の申告期限から5年以内に「更正の請求」を行い、その手続き内容が認められたら税金の還付を受けられます。とはいえ、所得税や法人税の専門家が自らの相続税申告手続きのミスに気づくのはかなり困難でしょうし、「更正の請求」においても相続税に関する専門性が求められることになります。
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