証券口座は、主に「スマホ」「パソコン」「郵送」の3つの方法で口座開設の手続きを行います。スマホで証券口座の開設を申し込む場合は、本人確認書類の提出もオンライン上で行えます。証券会社によっては、最短即日で口座開設が行えるケースもあり便利です。ここでは、楽天証券の手続きを例に口座開設の流れを確認しましょう。
メールアドレスの登録
証券会社に登録するメールアドレスを入力します。ドメイン指定受信や迷惑メール拒否などの設定を行っている場合は、あらかじめ証券会社からの確認メールを受信できるようにドメインの受信設定をしておきましょう。
本人確認書類の提出を行う
楽天証券では「スマホで本人確認」もしくは「書類アップロードで本人確認」によって、本人確認書類を提出します。
【スマホで本人確認】
運転免許証かマイナンバーカードを持っている人は、「スマホで本人確認」が利用できます。
「スマホで本人確認」とは、スマホのカメラ機能を利用して、本人確認書類および本人の顔写真を撮影する方法です。最短翌営業日にはログインIDがメールで送付されるため、口座開設に時間がかかりません。
【書類アップロードで本人確認】
運転免許証やマイナンバーカードを持っていない場合は、「書類アップロードで本人確認」を利用しましょう。
こちらも同じくスマホのカメラ機能にて本人確認書類の撮影を行いますが、顔写真の撮影は行いません。また、ログインIDの郵送までに約5営業日かかるため、「スマホで本人確認」に比べて時間が必要になります。
自分が利用する本人確認書類に合わせて、「スマホで本人確認」と「書類アップロードで本人確認」のどちらかを選択しましょう。
なお、本人確認書類の提出方法が選べる証券会社は下記の通りです。
本人情報を入力する
次に、本人情報の入力画面へ移行します。必要な入力項目は下記の通りです。
証券会社によってはIDやパスワードの設定を求められる場合もあります。楽天証券では「スマホで本人確認」を選択した場合、この画面でログインパスワードの設定を行います。登録したパスワードは忘れないようにしっかりと保管しましょう。
なお、「書類アップロードで本人確認」を選択した場合、ログインパスワードは郵送にて送付されます。
規約と入力内容を確認する
証券口座開設にあたっての約款が表示されます。スマホで口座開設を行った場合は、基本的に書面での約款交付は行われません。約款は公式サイト上でいつでも確認ができますが、まずはこの画面でしっかりと確認しましょう。
また、あわせて入力内容の確認も行います。住所や生年月日など入力内容に相違がある場合、スムーズに口座開設が行えないことがあります。「住所表記が間違っていないか」など細かい点までチェックしましょう。
審査結果を待つ
証券会社にて口座開設の審査が行われます。細かい審査の内容は証券会社によって異なりますが、主に下記のポイントに当てはまる人は口座開設の審査に通らない可能性があるでしょう。
口座開設の審査に通らない可能性がある人
- 海外に居住している人
- 反社会的勢力と関係がある人
- 同じ証券会社で証券口座を解約したばかりの人
- 外国PEPsに該当する人 など
外国PEPsとは外国の元首や外国政府、中央銀行の要人やその家族のことを指します。
また、口座開設の画面で入力した本人情報に誤りがある場合は、審査がスムーズに行われないケースがあります。その際は、証券会社からメールや電話などで確認が入ることがあるため、なかなか口座開設が完了しないときは証券会社から連絡が入っていないかチェックしましょう。
口座開設申し込みの完了
口座開設の審査が完了すると、手続き完了の旨のお知らせが届きます。送付されたIDやパスワードで初回ログインを行いましょう。その後、初期設定が完了すれば株取引が開始できます。
なお、ログインIDやパスワードは紛失したり他人に見られたりすることのないように、厳重に保管しましょう。
スマホやパソコン、郵送などで証券口座を開設したら、実際にマイページへログインして取引をスタートしましょう。以下で詳しく流れを解説します。
発行されたID・パスワードを確認する
口座開設が完了したら、IDやパスワードが送付されます。証券会社によってパスワードの変更手続きが必要となるケースや、送付されたパスワードをそのまま使用するケースなど様々です。
例えば楽天証券の場合、ログインIDは当初指定されたものから変更ができません。失念したり、第三者に見られたりすることのないように、保管方法には十分に気を付けましょう。
ID・パスワードを使って公式サイトからログインする
IDやパスワードを使って、公式サイトからマイページにログインします。
大文字や小文字など間違いがないように入力しましょう。
口座に入金する
マイページにログインができたら、証券口座へ資金を入金します。入金方法は証券会社によって異なりますが、主に下記の方法で入金が行えます。
口座の入金方法
- 銀行振込による入金
- 提携先インターネットバンキングからのオンライン入金
- リアルタイム入金 など
入金手数料も証券会社や入金方法によって異なるため、あらかじめコストを比較しておくとよいでしょう。下記の表は、楽天証券の入金手数料をまとめたものです。
入金方法 | 手数料 | 利用できる金融機関 |
通常振込入金 | 振込手数料は利用者負担 | ほぼ全ての金融機関 |
マネーブリッジらくらく入金 | 無料 | 楽天銀行 |
リアルタイム入金 | 無料 | 楽天銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行、PayPay銀行、セブン銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行、広島銀行 |
「マネーブリッジらくらく入金」や「リアルタイム入金」は手数料無料で利用できますが、振込入金は振込手数料を負担する必要があります。「なるべくコストを抑えて取引をしたい」という人は、銀行振込以外を選択する方がよいでしょう。
取引アプリをインストール
証券会社では、株取引をサポートするための様々なツールが提供されています。中には「スマホ専用のもの」や「パソコン専用のもの」など、利用環境に応じたツールが提供されていることもあります。
自分のトレードスタイルや利用環境に合ったツールを選び、インストールしましょう。ここでは、松井証券の取引ツールを例に紹介します。
スマホの場合
松井証券では、スマホでのトレード向けに下記のツールが提供されています。
スマホ向けのツール
- 株アプリ
- 株touch
- 米国株アプリ
- 投信アプリ など
松井証券では、国内株式や米国株式、投資信託など金融商品別にツールが展開されていることが特徴です。例えば、「株アプリ」では四季報やチャートが確認できるなど、パソコン向けツールにも劣らない機能が搭載されています。
発注方法も「シンプル注文」と「詳細注文」の2種類が備えられています。「シンプル注文」とは、取引したい株数や価格を入力して発注を行う簡潔な注文方法です。一方、「詳細注文」は逆指値注文や返済予約注文など、細かい約定の条件を指定して発注を行う方法です。
「外出先や休憩時間などにサッと株取引を楽しみたい」という人は「シンプル注文」を、「マーケットをじっくり分析しながら高機能な取引を行いたい」という人は「詳細注文」を利用しましょう。
このように、ツールの種類によって利用できる機能は様々です。無料の取引ツールも多いため、複数のツールを利用しながら使いやすいツールに絞っていくのもよいでしょう。
パソコンの場合
パソコン向けのツールは、スマホ向けのツールに比べてより本格的な機能が搭載される傾向にあります。松井証券では、下記のパソコン向けツールを提供しています。
パソコン向けのツール
- マーケットラボ
- ネットストック・ハイスピード
- 株価ボード
- チャートフォリオ
- テーマ投資ガイド
- ネットストックトレーダー
- QUICK情報 など
松井証券では、リアルタイムのマーケット情報以外に各種チャートの分析機能など、本格的なテクニカル分析も行えるツールが多く用意されています。
例えば「マーケットラボ」では、株価情報や四季報、業績予想など情報収集機能が豊富に備えられており、そのまま取引画面へ移行することも可能です。「この銘柄は買いだ」と思ったらすぐに発注が行えるため、取引のチャンスも逃しません。
その他にも、登録した銘柄の株価を一覧で表示できる「株価ボード」など、スムーズな取引をサポートしてくれるツールが多くあります。スマホ向けツールと同様に無料で利用できるものも多いため、複数のツールを試しながら自分に合ったものを探しましょう。
売買が可能に
資金の入金が反映されたら、いよいよ売買が可能となります。取引ツールを活用して銘柄検索をしたり、四季報で決算情報を調べたりして、投資先を選びましょう。
株式の売買には、主に「指値注文」と「成行注文」の2種類があります。指値注文とは、約定する価格帯を指定して発注を行う方法です。指値注文は、希望する価格で約定するメリットがありますが、取引の相手方が見つからないときは注文が成立しないことがあります。
一方、成行注文とは、その時市場に出ている注文の中から約定を行う方法です。成行注文はすぐに取引が成立するスピード感がありますが、市場の変動が大きいときは注文時よりも約定価格が想定外の水準になることがあります。
注文方法 | メリット | デメリット |
指値注文 | 希望する価格帯で約定できる | 注文が成立しないことがある |
成行注文 | 取引の成立が速い | 想定外の価格で約定することがある |
指値注文と成行注文にはそれぞれメリットやデメリットがあるため、自分のトレードスタイルに合わせた注文方法を選びましょう。
また、証券会社では株式の他にも多くの金融商品を取り扱っています。例えば、SBI証券の取扱商品は下記の通りです。
SBI証券の取扱商品
- 国内株式
- 外国株式
- 投資信託
- SBIラップ
- 債券
- FX
- 先物、オプション
- CFD
- 金、銀、プラチナ
- 保険
国内外の株式の他にも投資信託やFX、CFDなど様々な金融商品が揃えられています。マーケット環境や投資目的に合わせて他の金融商品の取引にチャレンジするのもよいでしょう。
証券会社で口座開設を行う際は、次の4点に気を付けましょう。
口座開設する際の注意点
- 入力情報に誤りがないか確認する
- 証券口座には「特定口座」と「一般口座」がある
- 異なる証券会社の口座は複数保有できる
- NISA口座は1人1口座まで
それぞれ詳しく解説します。
入力情報に誤りがないか確認する
証券口座の開設時には、氏名や住所、生年月日など入力情報に誤りがないように気を付けましょう。証券口座の開設を申請した後は、証券会社による審査が行われます。そこで本人確認書類と入力内容に相違があった場合、確認作業に時間がかかったり、最悪の場合は口座開設が認められないケースもあります。
「入力内容が間違っていたので、再度開設手続きを行わなければいけない」ということにならないように、きちんと確認を行いましょう。
証券口座には「特定口座」と「一般口座」がある
証券口座には、「特定口座」と「一般口座」の2種類があります。特定口座とは、確定申告に必要な「年間取引報告書」を金融機関が作成してくれる口座です。「源泉徴収あり」の特定口座を選べば、金融機関が源泉徴収で税金を差し引いてくれるため、基本的に確定申告の必要もありません。
一方「一般口座」では、「年間取引報告書」の作成や源泉徴収が行われないため、原則投資家自らが確定申告を行う必要があります。どちらの口座を選ぶ方がいいかは、「確定申告の手間をかけたくない」「専業主婦で譲渡益も所得控除の範囲内に収まる」など各投資家の意向によって異なります。投資金額や他の所得の状況などを踏まえた上で検討しましょう。
異なる証券会社の口座は複数保有できる
証券会社の口座は、異なる会社間であれば複数保有できます。「株取引の手数料はA社が安いけど、投資信託の品揃えはB社の方が魅力的」など、1社に絞れない場合は複数社で取引することも可能です。
ただし、同じ証券会社で複数の証券口座は開設できませんので注意しましょう。
NISA口座は1人1口座まで
証券口座は複数の証券会社で開設できますが、NISA口座は1人1口座となっています。A社でNISA口座を開設すると、他の証券会社では開設できなくなるため、事前にどの証券会社を利用するかよく検討する必要があります。
なお、年ごとに証券会社を変更することは可能です。その際、原則として変更する年の前の10月から12月の間に変更手続きを行わなければいけないため注意しましょう。
株取引の口座開設に関するよくある質問について解説します。
よくある質問
- 証券口座は持っているだけでも大丈夫?
- 証券口座を開設することにリスクはある?
- 証券会社に顔写真や個人情報を渡して大丈夫?
- おすすめの口座開設方法は?
証券口座は持っているだけでも大丈夫?
証券口座は開設して持っているだけでも特にペナルティなどは発生しません。ただし、証券会社によっては「口座管理手数料」が発生することがあるため注意しましょう。
例えば、大和証券では株式の口座について、下記の口座管理手数料(年間)が適用されます。
証券口座をしばらく使わない場合は、口座管理手数料などのコストが発生しないか確認することをおすすめします。
証券口座を開設することにリスクはある?
証券口座の開設によって、利用者の資産に損失が発生するリスクはありません。市場の価格変動などのリスクを受けるのは、実際に金融商品で運用をスタートしてからとなるためです。
ただし、証券会社が破綻した場合は、預けている資産が全額戻ってこないリスクもあります。証券会社は顧客の資産と自社の資産を分別して管理する「顧客資産の分別管理」が義務付けられているため、基本的には証券会社の破綻時も利用者の資産は守られる仕組みです。
しかし、何らかの理由で資産の返還がスムーズに進まない場合は、「日本投資者保護基金」によって1人1,000万円までの補償が適用されます。もしも1,000万円以上預けている場合は全額返ってこない可能性もあるため、リスクのひとつとして留意しましょう。
証券会社に顔写真や個人情報を渡して大丈夫?
証券会社で証券口座を開設する際、氏名や住所、生年月日などの個人情報の他に、本人確認書類の提出を行います。手続きの種類によっては、スマホのカメラ機能で顔写真を撮影することもあるため、「セキュリティ面は大丈夫なのだろうか」と不安になることもあるかもしれません。
ただし、証券会社では取り扱う個人情報に対して、しっかりと基本方針が定められています。例えば、マネックス証券では「個人情報保護宣言」として、公式サイトにて下記の通りに記載しています。
(3) 当社は、個人情報をこの基本方針に規定する利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱いません(ただし、お客様の同意を得た場合及び法令等により例外として取り扱われる場合を除く)。個人番号については、法令で定められた範囲内でのみ取り扱います。当社は、個人情報の利用目的をインターネット上のウェブサイトに常時掲載して公表し、必要に応じて書面、Eメール又は電話その他の方法により通知します。
(4) 当社は、お客様の個人情報が正確かつ最新の内容となるよう努めます。また、お客様の個人情報の漏えい等を防止するため、必要かつ適切な安全管理措置を実施します。
引用:マネックス証券「個人情報のお取扱いについて」
もちろんハッキングなどのリスクがゼロになるわけではありませんが、個人情報保護のための対策がきちんと取られている点は、利用者の安心感につながるといえます。
おすすめの口座開設方法は?
手続きの手軽さやスピードを重視する人には、スマホでの口座開設がおすすめです。証券会社によっては最短即日で口座開設が行えるところもあるため、「取引のチャンスを逃したくない」という人にも安心です。
また、スマホで口座開設を行った場合、口座開設の完了通知もメールにて送付されます。パソコンや郵送で開設した場合は、完了通知が転送不要の簡易書留にて送付されるため、必ず保管期限内に受け取り手続きを行う必要があります。
「自宅を不在にすることが多い」という人にとっても、郵送での受け取りが発生しない点は利便性が高いといえるでしょう。
慶應義塾大学商学部会計ゼミにて会計を学んだ後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。企業が事業活動を行ううえでの自然災害や訴訟に対するリスク分析・保険提案を3年間行う。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を活かし、取引先従業員に対するNISAやふるさと納税に関するセミナーの実施経験有。現在は、フリーランスとして保険や投資、税金などのお金に関する記事の執筆や個別相談・ライフプランニングの作成・実行支援を行っている。
その他の執筆記事・プロフィール一覧へ
松井証券さんを使っていて思う事は、これから株を始めてみたい!という方に嬉しい、現物取引・信用取引ともに購入金額が50万円以下であれば手数料が無料になるところです。さらに嬉しいのは25歳以下の方であれば、購入金額に関係なくすべての手数料が無料になります。手数料の負担は結構大きいので嬉しい配慮です。
トレードツールも、パソコンであればネットストック・ハイスピード、スマートフォンであれば株Touchというアプリがあり、どちらも無料で使うことができます。信用取引では、通常は空売りできない銘柄でも空売りができる「プレミアム空売り」というサービスは数多くのトレーダーが重宝している素敵なサービスです。
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