◉過去のIPOブームの事例
◯2000~2001年
2000年は東証傘下のマザーズ、大阪証券取引所傘下のナスダックジャパンが設立された年であり、IPOブームが起こります。2000年に上場した企業は204社にも上りました。
マザーズ、ナスダックジャパンは上場の際の条件が既存の証券よりも甘かったこともブームの一因だったと言われています。現在、高い認知度を誇るサイバーエージェント<4751>やライブドア(上場廃止済み)等がこのブームを機に上場しました。しかし、ネットバブルが崩壊したこともありブームは終焉を迎えます。
◯2004年~2006年
いざなぎ景気を超える長期間の好景気を背景に、主に2004年から2005年に未曾有のIPOブームが起こりました。当時、IPO銘柄は購入さえ出来れば上場後必ず上がるとまで言われていました。そのためIPO不敗神話なるものまで囁かれるようになりました。
なお、その成績ですが、2004年には176社が新たに上場し、初値が公募価格を超えた銘柄は全体の98%にも及びました。また平均初値騰落率は134.4%となり、100万円の投資で234万円以上に膨らんだ計算です。
そして、この間で最も高い公募価格に対する初値上昇率を示したのは2006年4月4日に上場した ジェイテック <2479>です。初値騰落率はなんと772.7%にまでなり、公募価格11万円が初値96万円にまで上昇しました。また高い上昇率と知名度を誇る大型企業として、2006年3月15日に上場した 比較.com <2477>があげられます。公募価格が45万円であったのに対し初値は270万円を付けました。
ちなみに、IPO株式はその人気ゆえに抽選となることが多いのですが、この時はおおよそ8人に1人だけが当選できたようです。
参考:
崩壊したソーシャルバブル~バブル崩壊の仕組みと今後の注意点~
◉2013年に注目される大型上場
このようにIPOブームの中で上場する認知度の高い大型企業の初値は、公募価格よりもはるかに高い値をつけることが多かったということが見て取れます。
そして、新規上場する企業の規模が大きければ大きいほど、知名度が高ければ高いほど、上場の際の動きには注目が集まります。
2013年度は、アベノミクスによる株高を背景にIPOが増えると予想されており、その中には上場の機会を調整していた大企業も含まれます。例えば、再上場をめざす大企業や、子会社ながら圧倒的知名度を誇る企業の上場などです。
そして、その一つとして政府系銘柄の上場が見込まれています。その中には、現在政府等が株式を保有しており、赤字が続いている企業の上場も見込まれています。政府は売却益によって借金の返済を行い、また民営化による事業の効率化を図る狙いです。
①東京地下鉄(メトロ)
東京メトロは政府が約53%、東京都が約47%の株式を保有しており、政府は株式上場による完全民営化を目指しています。政府と東京都との間で折り合いがつけば、2013年度の上場が実現するかもしれません。売上高は3668億円であり、認知度も高いため上場の際には大きな注目を集めることが予測されます。
②日本郵政
2015年秋に上場予定。郵便事業は慢性的な赤字であり、株式上場による資金調達を政府が行いたいと考えています。経常収益は16兆6641億円であり、サービスも郵便から郵貯銀行などと多岐に亘っているため様々な関連企業が存在します。なお関連企業としては、ゆうちょ銀行と住宅ローンを中心とする個人ローン業務で提携している スルガ銀行 <8358>などです。
以上、IPOブームについて過去の例も振返りながら、その概略をお伝えしました。
次回は、現在上場が噂されている非上場大企業6社を紹介し、上場に伴って変動するであろう関連銘柄や様々な問題をご紹介したいと思います。I
また、下記、スライドシェアに、サントリー食品インターナショナルの上場関連の話題や企業や株価分析などをまとめ、アップしました。
参考になれば幸いです。いつもありがとうございます。
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BY S.K