この記事は2023年11月10日にSBI証券で公開された「決算発表がピークアウト!好決算を発表し、株価上昇に期待の主力11銘柄」を一部編集し、転載したものです。
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決算発表がピークアウト!好決算を発表し、株価上昇に期待の主力11銘柄
日本株が反発局面にはいっています。日経平均株価は10/30(月)取引時間中の安値30,538円から11/6(月)の同高値32,766円まで急反発しました。11/7(火)・11/8(水)は計542円下げましたが、11/9(木)終値は32,646円(前日比479円高)と再び急速に戻しました。
日本株に大きな影響を与えてきた米10年国債利回りは10/23(月)に一時、07年7月以来の5%を超えました。しかし、10/26(木)発表の米7-9月期GDP(速報値)が予想を上回ったにもかかわらず、米10年国債利回りが低下に転換。11/3(金)に発表された米雇用統計(10月)は、労働需給のひっ迫感を後退させるような内容となり、同利回りは11/8に4.49%まで低下しました。米金利の低下を受ける形で、日本株はグロース株中心に反発力を強める結果になりました。
こうした中、東京市場では23.7-9期の決算発表が終盤に差し掛かってきました。すでにトヨタ(7203)が11/1(水)に発表を終えましたが、11/9(木)にはソニーG(6758)、ソフトバンクG(9984)の発表が終了。11/10(金)には650社の発表が終了し、決算発表シーズンは質・量の両面でピークアウトしてきたといえそうです。
決算発表シーズン中、個々の銘柄は、収益の実績や予想が、前年同期または市場コンセンサスと比較して強いのか、弱いのかをおもな判断材料として動く傾向にあります。しかし、決算発表が一巡すれば、他の銘柄と比べて収益の実績や予想は強いのか、バリュエーション面でどうなのかという分析もしやすくなってきます。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、11/7(火)までに決算発表を終えた主力銘柄の中から好業績銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行なってみました。条件は以下の通りです。
(1)東証プライム市場上場(広義の金融を除く)
(2)11/7(火)までに四半期決算の発表を終えた3月決算銘柄
(3)時価総額1,000億円超
(4)予想EPS(1株利益)を公表しているアナリストが3名以上
(5)24.3期2Q(7-9月期)営業利益・・・10億円超、かつ前年同期比増益率50%超、かつ事前の市場予想(Bloombergコンセンサス)を超過
(6)24.3期上半期(2Q累計:4-9月期)営業利益・・・10億円超、かつ前年同期比増益率30%超
(7)24.3期会社予想営業利益・・・上方修正または据え置き
(8)24.3期市場予想営業利益が10/20(金)以降、上昇または横ばい
(9)24.3期および25.3期の市場予想営業増益率が10%超
図表の銘柄は上記すべての条件を満たしており、24.3期上半期の営業増益率が高い順に並べています。
一部掲載銘柄を解説
ソシオネクスト(6526)~好決算も株価は急落後の安値近辺で投資チャンスも?
■カスタムSoCで成長中のファブレス半導体製造
富士通(6702)とパナソニック(6752)のSoC事業を統合し、2015年3月から事業を開始しました。
半導体はその機能により、メモリやCPU、GPU、通信機能用など多くの種類がありますが、SoC(System on chip)はそうした複数の機能をひとつの半導体にまとめたものです。ソシオネクストは、最先端かつ革新的な半導体を求める特定顧客に、特定のSoC(カスタムSoCと呼ばれます)を提供しています。
同社はファブレス企業であり、担っているのは、半導体の開発設計で、製造は台湾TSMC等の製造専門企業(ファウンドリ)に委託されており、固定資産を過度に抱えない軽量経営が可能です。
用途向け売上構成比(23.3期)は産業機器32%、スマードデバイス(携帯・タブレット等)22%、オートモーティブ(車載)32%、データセンタ/ネットワーク14%で、近年はオートモーティブ向けが拡大傾向です。また、海外売上比率は18.3期に34%でしたが、23.3期には同比率が56%(米国・中国他)まで拡大し、顧客のグローバル化が進展しています。
■今後も成長持続に期待
24.3期2Q累計(4-9期)の売上高は1,169億円(前年同期比41%増)、営業利益186億円(同78%増)でした。また、2Q(7-9期)だけでは営業利益85億円(同76%増)と好調でした。
2Qまでの好業績を受け、24.3通期の会社予想営業利益は225→290億円(前期比33%増)と上方修正されました。
粗利の改善に加え、円安・ドル高の効果も大きそうです。会社側は前提為替レートを期初の1ドル115円から今回は通期で133円に修正(会社試算では1ドル1円の円安で年3.5億円の営業増益要因)しました。
10月末時点で、24.3期の平均ドル・円相場(TTM)は142円近辺であることを勘案すれば、修正後の前提為替レートも保守的とみられます。市場(bloombergコンセンサス)では、24.3期営業利益306億円が予想されています。
株価は好調な決算を発表した10/31(火)後も冴えない展開です。円安効果を除いた増益分は大きくないというのが市場の評価かもしれません。7月の大株主による売出ショックの後遺症もありそうです。25.3期から26.3期にかけ、5Gネットワーク構築特需の反落や中国の減速も警戒されます。
しかし、商談の成果や車載向けのビジネス拡大等が期待され、27.3期以降は成長が加速しそう(会社資料)です。
▽日足チャート(6ヵ月)
*データは11/10(日足)13:00時点。
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
▽業績推移(百万円)
※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)~自動車用電池・世界シェア2位。EV向け本格化
■自動車用電池の世界的メーカー
自動車用電池で、世界第2位のシェアを誇る会社です。日本では新車向け・補修向けともにシェアNo.1で、全体の7割を占めています。
自動車・バイク用バッテリーの鉛電池や、EV・ハイブリット車向け用のリチウムイオン電池などで有名です。特にリチウムイオン電池は、自動車への環境規制が強化される中、日系自動車メーカーを中心に需要拡大が見込まれます。
三菱自動車、三菱商事との合弁企業「株式会社 リチウムエナジージャパン」を2007年に設立。世界初の量産型リチウムイオン電池供給に携わりました。また、2023年には、電気自動車(EV)用電池の開発強化に向けホンダと共同出資で「株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D」を設立。EV(電気自動車)搭載用を中心とした高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーの研究開発に向け、協業を本格化させています。
東南アジア・中国などを中心に19カ国37拠点で事業を展開。地域ごとの売上高比率は、日本47%、アジア17%、欧米8%です(23.3期)。
■値上げが奏功。過去最高益を更新予定
足元の業績は堅調です。最新の2Q決算では、上期(4-9月期)として過去最高の売上高・利益を更新。販売価格の見直しが寄与したほか、半導体不足の解消により自動車生産が増えたことが追い風となった模様です。
また、通期計画の見直しを発表。予想売上高は当初より4%下方修正がされましたが、値上げが奏功しているため、予想利益を大幅に上方修正。予想営業利益は当初より+12%、予想純利益は当初より+14%の160億円で、2期連続で過去最高を達成する予定です。
11/9(木)時点の株価は2,553円とSBI証券企業調査部のアナリストによる目標株価3,300円とかい離しています。
▽日足チャート(6ヵ月)
*データは11/10(日足)13:00時点。
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
▽業績推移(百万円)
※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。