2/27(木)の米国市場では、NYダウが過去最大の下げ幅となり、それを受けた2/28(金)の東京株式市場では日経平均株価が一時1,000円超下げる波乱の展開になりました。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が警戒されたことが要因です。

株式市場は景気後退を織り込む新たな局面に入った可能性があります。しかし、短期的には下げ過ぎを示唆する指標が数多く認められ、日経平均株価は当面の底を打つ可能性があります。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、仮に日経平均株価が底を打ったと仮定した場合、反発力が大きそうな銘柄を時価総額上位銘柄の中からピックアップしてみました。

東京株式市場は「陰の極」か?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

2/28(金)の東京株式市場では日経平均株価が一時1,000円超下げる大幅安となりました。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を警戒し、株価も世界的な下げとなりつつあります。これまでは、アジアの感染からほぼ無縁とされてきた米国でも、カリフォルニア州で感染源不明の感染者が現れるなど、感染拡大の兆しが出ています。そうした流れの中、2/27(木)の米国株式市場では、NYダウが6営業日続落となり、前日比1,190.95ドル安という過去最大の下げを演じました。

NYダウが続落した6営業日の累計下落率は12.2%に達しています。S&P500も高値からの下落率が12.0%に達し、調整相場入りの形になりました。株式相場の混迷は長期化しそうだとの警戒感が2/28(金)の日経平均株価の大きな下落につながっています。

こうした中、感染拡大が加速するのか否か、ここ1~2週間が正念場とみた政府は矢継ぎ早に対策を打ち出しています。大規模イベントの延期・中止や全国すべての小中高等学校の休校を要請し、早々と実施されるはこびです。

中国で新型コロナウイルスの感染者の存在が報道されたのが1月中旬で、同国の感染者数増加がピークアウトしたのが2/13(木)になっています。日本では1/21(火)に感染者の存在が明らかになってから1ヵ月を経過しつつあります。中国の感染ペースを参考にすれば、ここで有効な対策を打つことで感染者数のピークアウトにつなげることができるとみられ、その意味でも現在が「陰の極」である可能性は大きいように思われます。

日経平均株価について、当面の重要な水準としては、

(1)21,675円・・・本年高値(1/20)から10%押し水準
(2)21,486円・・・25日移動平均線マイナス8%乖離水準
(3)21,205円・・・昨年3月末の株価水準
(4)21,000円・・・心理的な下値支持線

等となっています。2/28(金)は午前中の段階で(2)や(3)を下回り、午後には一時(4)を下回りました。また、2/27(木)の段階ですでに、日経平均株価の騰落レシオ(25日)が59.85%(70%未満で「下げ過ぎ」)まで低下したほか、RSIも2/28(金)現在で12.61%(30%未満で「下げ過ぎ」)となっています。主要テクニカル指標のほぼすべてが「下げ過ぎ」を示唆しており、2/28(金)の安値が当面の「1番底」になる可能性は大きそうです。

図1 日経平均株価(日足)と25日移動平均線乖離率

図1 日経平均株価(日足)と25日移動平均線乖離率
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。)

株式市場が底打ちしたとき、有望な銘柄は?

日経平均株価が当面のボトムを打ち、リバウンドに転じると仮定した場合、どのような銘柄が有望な投資対象になるでしょうか。株式相場が下落局面から反発する時は一般的に、それまで大きく下げた銘柄が反発力も大きいと考えられます。「リターン・リバーサル」といい、もっとも典型的な逆張り手法になります。

ただ、株価が大きく下げた銘柄には、それ相応の理由がある場合があります。特に、その銘柄の業績見通しが悪化した直後であるような場合は、今後も株価下落リスクが続く可能性があります。そこで「日本株投資戦略」では、株価下落率が大きいばかりでなく、時価総額や予想配当利回りでふるいにかけ、「リターン・リバーサル」を狙う銘柄の対象を絞ってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)時価総額5,000億円以上の東証上場銘柄であること
(2)東証33業種のうち、広義の金融や「その他」等を除いた業種であること
(3)市場予想配当利回りが3%以上の銘柄であること
(4)1/20(月)~2/28(金)の株価下落率が20%を上回っていること

上記のすべての条件を満たす銘柄を、株価下落の大きい順に並べたものが表1になります。日経平均株価が当面のボトムを打ち、リバウンドに転じると仮定した場合、これらの銘柄は有望な投資対象になり得ると考えられます。

表1 株式市場が底打ちしたとき、有望な銘柄は?
(画像=SBI証券)

表1 株式市場が底打ちしたとき、有望な銘柄は?
コード / 銘柄 / 株価(2/28) / 騰落率(1/20~) / 予想配当利回り
<4324> / 電通グループ / 2,812 / -26.1% / 3.4%
<3407> / 旭化成 / 900.7 / -25.3% / 4.0%
<5201> / AGC / 3,100 / -23.8% / 4.2%
<7272> / ヤマハ発動機 / 1,728 / -21.8% / 5.2%
<9201> / 日本航空 / 2,678 / -21.3% / 4.1%
<9062> / 日本通運 / 5,170 / -21.3% / 3.0%
<7211> / 三菱自動車工業 / 359 / -20.9% / 5.6%
<5802> / 住友電気工業 / 1,290.5 / -20.6% / 3.7%
<7011> / 三菱重工業 / 3,419 / -20.4% / 4.4%
<6305> / 日立建機 / 2,663 / -20.0% / 3.4%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。予想配当利回りは市場予想(コンセンサス)ベース。なお、配当政策の変更等により、市場予想1株配当利回りの合理性が失われた銘柄は削除しました。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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