◉富裕層顧客の要望
銀行や証券会社は、極端に言えば顧客の財産を如何に保全・増加させるかという、この一点に集中すればよいと思います。
顧客たる富裕層もそれ以外の多くは期待していないのではないでしょうか。
しかし、生命保険会社は財産の保全・増加は当然のことながら(死亡保険金や入院給付金等の)支払事由に対して、またそれまでの過程に対して適切に対応しなければなりません。ですから、生命保険は契約されればそれがゴールでなくそこからがスタートと言っていいでしょう。
顧客は生命保険の契約までは営業マンを疑心暗鬼の目で見ます。しかし、一旦契約すれば、顧客からこれほど大きな信頼を得られる営業は他にないのではないでしょうか。
それゆえに、ライフプランやライフデザインだけではなく、家族の健康面や富裕層顧客の方の場合は企業の資金の調達方法等々、生命保険とは直接関係のない事柄まで相談したいと思っています。そして、それに対応できるような幅広い知識を持った営業マンが必要とされるようになってくると思います。
◉他の金融機関・商品との違い
17世紀イギリスでは、セントポール寺院の牧師たちが葬式代をまかなうために、お互いにいくらかずつ出し合って積み立てていったといわれれます。
これが、いわゆる相互扶助の精神でもって成り立っているという生命保険のはしりです。
つまり、生命保険の加入者が死亡すればその生命保険会社の全加入者の保険料から死亡保険金として遺族に届けられます。平成25年9月現在、金融庁から免許を得て営業している生命保険会社は国内生保、外資系を含め43社ありますが、一社としてその精神を逸脱している保険会社はありません。ここが単に財産を預かりそれを運用するという他の金融機関との決定的な違いです。また、年金や健康保険という国がかなりの負担を強いられる部門も生命保険会社はカバーしています。
こういった意味において税制が他の金融機関より優遇されているのは当然のことだと思います。
◉保険会社のあるべき姿
生命保険に加入される理由は各顧客によって違います。主に富裕層の方であれば大黒柱であるご主人や社長の万が一の保障や入院保障は当然のことながら、相続対策や資産運用であったとしても前提が「不安の解消」ということにあります。
こういった意味において、ただ単に保険金や入院給付金を支払えばいいということだけでなく、営業マンには契約者やその家族に対するメンタル面でのケアーする能力も必要になってくると思います。
現在、一部の生命保険会社のサービスに外部機関を利用した病気(精神的なものも含む)の相談やセカンドオピニオンサービスがあり富裕層顧客を狙ったものだと思われます。それはそれで生命保険業界の進化だと思いますが、もう一歩踏み込み、営業マンとしても法的に問題のない範囲で、顧客の人生における(といっても金融関連に重きを置かざるを得ませんが)カウンセリング能力を養うべきでしょう。それが確立すれば、他の金融機関との営業マンの社会的地位の差を埋められて、またあまりあるものを得られるのではないでしょうか。それが、今、生命保険会社・業界に、内勤社員と営業社員の差があるという異質さを無くす手段でもあると同時に、富裕層顧客の側からも求められていることだと思います。
以上、最後は私見を交えてしまいましたが、私の思う保険業界について述べさせて頂きました。お客様の方々、また業界の人間双方にとって望ましい形で保険業界が発展していくこと願ってやみません。
また、これまで10回に渡る連載をお読み頂き誠にありがとうございました。また別の企画にてお目にかかれればと思います。
引き続き、宜しくお願い致します。
【富裕層のための保険講座】
富裕層のための保険講座vol1『3大オーナーの生命保険と税金』
富裕層のための保険講座vol2『主な生命保険とその特徴』
富裕層のための保険講座vol3『法人における保険加入の方法とメリット』
富裕層のための保険講座vol4『事業と家族を守るために富裕層の加入すべき保険の考え方』
富裕層のための保険講座vol5『3大オーナーの一角、ドクター保険の世界』
富裕層のための保険講座vol6「個人年金保険の種類と活用方法」
富裕層のための保険講座vol7「同じような保障でも保険会社で違う保険料金の仕組み」
富裕層のための保険講座vol8「生命保険の加入(販売)チャネルの比較とまとめ」
富裕層のための保険講座vol9「超優秀な営業マンの見分け方」
BY NAD
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