デジタル化の進展が目覚ましい昨今、テレビ会議システムを使えば直接顔を合わせずに打ち合わせをすることができるようになりました。また、「働き方改革」の中で、在宅勤務やリモートワーク、サテライトオフィスを取り入れる企業も増えてきています。今回は、あえてオフィスを構えることにどういったメリットがあるのか探っていきましょう。

業績をけん引するのは「オフィス」の時代

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(画像=Zastolskiy Victor/Shutterstock.com)

バブル崩壊以降、デジタル化の進展の中で「持たざる経営」がもてはやされてきました。以前は「業績アップ=工場拡張」であった製造業も、米アップルのように自前で生産拠点をもたない「ファブレス」なメーカーが増えてきている状況です。
とくにIT企業ではそれが顕著であり、エンジニアの数を増やし、オフィスを増やすことで事業拡大が図られているなど、オフィスの重要性が高まっています。
しかし、冒頭でも述べたように、昨今は柔軟な働き方を求める声が高まる中で、リモートワークを取り入れる企業も増えています。多くの人がリモートワークをするようになった場合、維持コストをかけてまでオフィスを持つ意味はあるのでしょうか。

オフィスは「会社の顔」、クリエイティビティを引き出す空間へ

とはいえ、「オフィスは会社の顔」という考え方があるのも事実です。米IT大手のGAFA(「Google(グーグル)」、「Apple(アップル)」、「Facebook(フェイスブック)」、「Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)」)の例に見られるように、オフィスのイメージは会社のイメージを左右します。通勤しやすく利便性の高い人気のエリアに快適なオフィスを構えることは、人材採用面でプラスに働くのです。
また、AI(人工知能)の登場で、人間にはより付加価値の高いクリエイティブな業務を生み出すことが求められています。そうした中で、オフィスはただの「働く場」ではなく「クリエイティビティを生み出す場」であることが求められています。GAFAのオフィスに見られるようなポップなインテリアや、業務中にリフレッシュするためのジム、カフェスペース、目に優しい観葉植物をたくさん取り入れた空間なども、すべては五感を刺激し、クリエイティブな発想を生み出すために設けられているものです。
GAFAの一角、アマゾン・ジャパンは2018年9月、JR目黒駅前に国内3カ所目のオフィスを開設しました。フロア面積約2万平米の巨大なオフィスには600種類以上もの観葉植物が飾られ、執務スペースはリラックスして働けるよう配慮されています。また、課外活動を行うヨガルームや音楽ルーム、和室なども備わっています。さらに、トランスジェンダーの人々にも配慮したユニセックスなシャワールームや、宗教の違う社員向けの礼拝スペース、ママ社員のための授乳室も設けられており、アマゾンの新オフィスには「全ての人に働きやすい環境を」という企業メッセージが込められているのです。

「人が集う場」としてのオフィスのメリット

オフィスは「人の集まる場」としての機能も果たします。昨今のオフィスレイアウトで、仕切りの少ない「オープン・オフィス」が好まれるのもその表れといえるでしょう。部署やチームごとにパーテーションで仕切られた縦割り空間で働くのではなく、よりオープンで風通しのよいオフィスで働くことで、人と人との会話が生まれ、各々の持ち寄ったアイディアが新たなビジネスチャンスを生む可能性を高めてくれるのです。
また、オープンで風通しのよい空間は常に人目にさらされており、コンプライアンス上の不正を防ぐ効果もあります。企業の社会的責任が厳しく問われる昨今、不正やハラスメントは命取りになり得るからです。
「働き方改革」の旗印の下、長時間労働の是正に取り組むためにも、多くの人が行き交うオープン・オフィスであれば「むやみな残業がしにくくある」というメリットが得られるでしょう。

「ハード」と「ソフト」の双方を兼ね備える働く場づくり

このように、デジタル化で産業構造が変わりつつある中でも、企業がオフィスを持つメリットはいくつも挙げられます。
ただ、それは好立地に豪華なビルを建てるという「ハード面」だけでなく、人の集まる場、ビジネスを生み出す場という「ソフト面」を兼ね備えてこそ価値を発揮するということを忘れてはならなりません。(提供:自社ビルのススメ

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