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こんにちは、事業承継に取り組んでいる行政書士のS.Kです。
今回は事業承継の円滑な実施のために役立つ公的融資制度について説明させていただきます。

これまで上程させていただいた企業の事業承継に関する記事の中で、企業の事業承継手続きにおける資金調達の重要性については、何度も論じさせていただきました。事業承継の実施前においては、株式や事業用資産の集中化のために資金が必要となります。

そして事業承継実施後は、後継者による経営の安定までの間に資金が必要となることとなります。ここでご紹介する公的融資の制度は事業承継実施後に後継者の方が必要となる運転資金調達のための制度となります。

【参考 オーナー企業のための事業承継】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
オーナー企業のための事業承継vol4「建設業界に学ぶ許認可事業の事業承継って?」
オーナー企業のための事業承継vol5「会社の現状を把握するポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol6「企業の事業承継の際の法律上の問題点とは?
オーナー企業のための事業承継vol7「家族の絆を守る後継者以外への配慮とは?」
オーナー企業のための事業承継vol8「後継者の適性・選定のポイント」
オーナー企業のための事業承継vol9「種類株式を使った事業承継?」
オーナー企業のための事業承継vol10「贈与税の注意点って?」
オーナー企業のための事業承継vol11「代表者の個人保証・担保提供の問題って?」
オーナー企業のための事業承継vol12「生命保険を利用した資金対策」
オーナー企業のための事業承継vol13「MBOという手法の活用」
オーナー企業のための事業承継vol14「M&Aによる第三者への事業承継」
オーナー企業のための事業承継vol15「M&A時のデュ-デリジェンスの意義とポイント」


◉事業承継時の資金不足の可能性と地方公共団体の金融制度


企業の事業承継を実施するにあたっては、後継者の経営が安定するまでは運転資金が不足する可能性があります。

ごく一部の上場会社を除き、会社に対する信用は、そのまま会社の経営者様への信頼として現れているのが日本の企業の実情です。企業の看板自体・机上の書面よりも経営者様個人の手腕、人間性、人脈力が信用の対象となります。
そのため、企業の事業承継により経営者様が一線を退かれ、後継者が事業を受け継いだ場合には、後継者の信頼が固まるまでは経営は安定せず、一時的に取引先や金融機関が離れて行く可能性が非常に高くなります。

その際には、企業体力を温存しておかなければ、資金繰りがショートしてしまう可能性もありえます。そのため、企業の事業承継時に的を絞った融資の重要性が認識され、現在では地方公共団体でも事業承継の際の融資制度を設けています。

各地方公共団体の事業承継時の融資制度の概略については、中小企業基盤整備機構やその運営サイトである「J-NET21」で検索することができます。
一般的に、地方公共団体実施の融資制度の場合には、事業承継実施の事実があれば、経営の内容については銀行ほど厳密には問われない傾向にあります。企業の事業承継は地方公共団体においても重要な課題として認識されているためです。

ただし、法人税の納税が済んでいることや許認可を取得していることなど法令遵守の状況は共通して要件となっています。