2018年11月末、出入国管理法(入管法)改正案が参院を通過し、外国人労働者の受け入れを拡大することがほぼ決定されました。
同改正案では、政府が指定した業種において、一定の能力が認められる外国人労働者に対し、新たな在留資格「特定技能1号」「2号」を付与し、受け入れ拡大を目指すといいます。

外国人増加に伴うさまざまな社会的コスト

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(画像=Flamingo Images/Shutterstock.com)

日本の少子高齢化は歯止めがかからず、企業は労働力人口の低下と国内市場の縮小に苦しんでいます。そうした中、外国人労働者の受け入れは、労働力を担う存在として期待されているのです。
例えば、「特定2号」の熟練技能者の場合であれば、本国からの家族の呼び寄せが認められるといいます。家族の呼び寄せが可能になれば、その労働者にとってより暮らしやすい環境になるでしょう。ただしこの場合、同伴する配偶者や子供の受け入れ、さらに将来的には彼らが介護の必要な親を呼び寄せる可能性も想定しなければなりません。
また、子どもの教育も問題の一つです。既に、外国人の子どもたちが多く通う地域の公立学校では、彼らの学習を支援するための取り組みが行われており、運動会などの学校行事では多国籍の保護者向けに多言語放送が行われる学校もあるといいます。今後はさらなる外国人の増加を想定し、より多くの学校で多言語化に対応していく必要があるでしょう。

外国人労働者の労働力確保

今後、日本では少子高齢化が進むことが予想されているため、労働力不足もより一層深刻化していくことでしょう。しかし、その労働力不足を「優秀な外国人労働者」で補っていくことができるようになれば、長期的に労働力を確保できる可能性も高まっていきます。
今現在は労働力不足に陥っていない企業でも、今後の少子高齢化により労働力が確保しにくくなる可能性は否めません。そのため、企業の発展を長期的に見据えた場合、「優秀な外国人労働者の労働力を確保できる体制」を整備していくことには大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか。とくに、海外への事業展開を見据えている企業であれば、その外国人労働者の労働力を確保することが、世界へと進出するための取っ掛かりになるかもしれません。

「移民先進国」シンガポールや欧州の課題

「移民先進国」である欧州やシンガポールでは、既に上記に挙げたような弊害に直面しています。シンガポールの例で見ると、近年では外国人の受け入れ増加により地元の職が奪われてしまうという懸念が出たことから、ホワイトカラー職も含めて年々ビザの発給を厳しくし、雇用の「シンガポール人ファースト」を守っています。
しかし、会社によっては外国人労働者の増加が大きなメリットにつながるのも事実です。「海外進出を視野に入れている企業」などは、まさにグローバル化への先駆けとして最適な方法といえるでしょう。また、外国人労働者の「日本人とは異なる視点」を積極的に取り入れることで、これまでとは一味違う発想、アイデアを生み出してくれるかもしれません。少子高齢化が進む日本においては、シンガポールなどの移民先進国よりも遥かに外国人労働者を受け入れるメリットは大きいといえるのではないでしょうか。
とはいえ、朝日新聞社が主要100社に実施したアンケート調査では、47社が外国人労働者の受け入れについて、その必要性は認めたものの、そのうちの24社は「議論が拙速」だと述べています。そのため、さらなる議論が必要であることは間違いないでしょう。(提供:自社ビルのススメ

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