もともと日本では、忘年会、社員旅行、運動会などの社内イベントが盛んでした。バブル崩壊、リーマン・ショックなどの経済状況の変動と、それに伴う企業風土の変化によって、こうした社内イベントは影を潜めましたが、近年は再び注目を浴びています。

社内イベントを企業の求心力に

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

「働き方改革」が叫ばれる中で、社員一人ひとりのスキル・アップが求められ、社外勉強会などが流行しています。これは、働き方改革が企業にとって「遠心力」となっていると考えることもできるでしょう。

しかし、企業が成長していくためには、働き方改革から目を背けることなく、それ以上の「求心力」を培うことが求められます。その企業の求心力を培うものとして、社内イベントが再注目されているのです。

産労総合研究所が2014年に実施した「社内イベント・社員旅行等に関する調査」によると、社内運動会や社員旅行などの何らかの余暇・レクレーション行事を実施している企業の割合は82.0%にのぼります。また、直近の10年間における余暇・レクレーション行事の見直し状況をたずねたところ、「見直しや再編をした」が45.1%、そのうち約半数は「新たな行事を始めた」と回答しています。

(参照:産労総合研究所 「2014年社内イベント・社員旅行等に関する調査」)

コミュニケーションとモチベーション・アップに

社内イベントを実施することによる効果はどのようなものでしょうか。まとめると次の3つになります。

・部署内外のコミュニケーションの活性化
・仕事へのモチベーション・アップ
・企業理念やビジョンの浸透

ワーク・モチベーション研究所の「社内イベントに関するコミュニケーション調査」によると、「社内イベントは人と会って直接話ができる良い機会だと思う」と答えた人が58%に上りました。

今ではほとんど使われることがなくなった「飲みニケーション」という言葉。パワハラやセクハラ、アカハラといったネガティブなイメージを連想させるようになってしまいましたが、社内イベントとしてバーベキュー、誕生日会、ハロウィンイベントなどを開催すれば、普段話す機会のない他部署の社員と話したり、意見交換をしたりと、コミュニケーションを図ることができます。

また、社員総会など社員全員が集まるイベントにあわせて表彰式を行う方法もあります。営業成績にもとづく表彰や感謝状の贈呈などを行うというものです。表彰を通じて社員の働きを評価することで、社員のモチベーション向上に役立ちます。

一方で、社内イベントを成功させるには、社員自らが「参加したい」と思えるものにする必要があります。

社員総会などで、経営トップ層の話が延々と続いたり、退屈であったりするとせっかく社員のモチベーションも下がってしまいます。経営側からすると、企業の理念を理解してもらうため、つい熱のこもったスピーチをしてしまうのですが、それが空回りしてしまうことが少なくありません。

また、社内イベントの開催日が土曜や日曜などの休日だと、社員にとっては抵抗感があるのも事実です。社内イベントは、営業日に実行するか振替休日を設けるなどしたほうが良いでしょう。

(参照:ワーク・モチベーション研究所「社内イベントに関するコミュニケーション調査」)

社内イベントの実例

楽天株式会社が行う社内イベントが「社員誕生日パーティー」です。3ヶ月を1つのスパンとして、誕生日の近い社員同士が集められ、豪華な食事やゲームなどのイベントを楽しみます。社長の三木谷浩史氏をはじめ上層部の役員も参加して、一人ひとりの社員に激励の言葉をかけるというものです。

株式会社ディー・エヌ・エーでは月に1度、社内のカフェテリアで日本人社員と外国人社員が交流を深める「Global Night」というパーティーが実施されます。また、社員とその家族を対象とした「DeNA Family Day」では、職場や会長室を見学したり、おいしい食事を楽しみながら横浜DeNAベイスターズの試合を大型スクリーンで観戦したりして、家族も一緒に交流を満喫できます。

こういった社内イベントの実施を通じて、社員はチームの一体感を感じることができるようになるため、普段意識してこなかった企業理念を想起することにもつなげられるのです。(提供:自社ビルのススメ


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