社内コミュニケーションの活性化は、すべての企業において重要なものといえるでしょう。しかし実際には、多くの企業が社内コミュニケーションについて課題を感じているのも事実です。

HR総研が行なった「社内コミュニケーションに関するアンケート」というWeb調査によると、「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」という問いには、全体の74%の企業が「課題がある」と答えています。「課題のあるコミュニケーションはどこか」と選択式に問うと、「部門・事業所間」が一番多く68%の回答がありました。

(参照:ProFuture株式会社「『社内コミュニケーションに関する調査』結果報告」

導入増えるビジネスチャットツール

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(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

こういったコミュニケーションに関する課題を解決する手段の一つとして、最近はビジネスチャットツールを導入する企業が増えています。ビジネスチャットツールとは、どのようなものなのでしょうか。また、PCに入っているメールとはどう違うのでしょうか。

個人であれば、LINEが多く使われているチャットツールに挙げられるでしょう。リアルタイムでコミュニケーションがとれ、グループの作成で同時に多人数と情報共有することができます。

その点、ビジネスチャットツールはビジネス向けにカスタマイズされているため、大容量のファイルが送れたり、タスク管理ができたり、セキュリティ対策が施されていたりするのです。

ここでは、代表的な3つのツールを紹介します。

Slack(スラック)

Slack(スラック)は、世界的に爆発的な成長を続けているビジネスチャットツールです。世界利用国150ヶ国以上、日間アクティブユーザー数1,000万人以上、有料プラン利用企業数8万5,000社以上を誇っています。

機能としては、チーム別、プロジェクト別、顧客別など、組織に適した形でチャンネル(グループ)を作成することができ、チャンネルに投稿したすべてのメッセージを検索することができます。機能拡張のために連携できる外部アプリケーションは、1,500点以上にも上ります。

特徴的なことは、ICTエンジニアからの支持が高く、開発の現場で好まれているチャットツールであることです。

日本経済新聞社は、当初その開発を完全に外注していた「日本経済新聞 電子版」の内製化のためにSlackを導入し、開発コミュニケーションのハブとして活用することで効率化を図ることができたといいます。

Chatwork(チャットワーク)

Chatwork(チャットワーク)は何よりも日本発のサービスということで、日本の企業にとってはサポートが充実していることがアドバンテージといえるでしょう。導入企業は22万9,000社を超えています。

特徴的な機能は、充実したタスク管理にあります。自分自身のタスクはもちろんのこと、他のメンバーにタスクを依頼することもできます。どのタイミングで誰が何をするべきなのか、その都度詳細なタスクをグループ全体で共有することができるのです。

Chatworkを導入した船井総合研究所では、以前はタスク管理方法として、各自が紙の手帳や付箋、PCのメモ帳ソフトなどにメモしておき、Excelにまとめていました。導入後はタスクを転記する必要がなくなり、タスクの「抜け」や「漏れ」が非常に減ったそうです。

LINE WORKS(ラインワークス)

LINE WORKS(ラインワークス)の最大の特徴は、みんなが知っているLINEとユーザー・インターフェイスがほとんど同じで、誰もが簡単に操作できるという点です。

トーク(チャット)機能の他、ファイル共有、カレンダー、アドレス帳、アンケートなどがあり、端末紛失時のデータ削除遠隔操作もできます。

大阪市は、自然災害や大規模事故など緊急時のコミュニケーションツールとしてLINE WORKSを導入しました。市長からの指示を災害対策担当者へダイレクトに伝え、関係機関の情報共有を迅速にする防災体制を築いています。

注意したいデメリット面

ここまでビジネスチャットツールの効果や導入事例を紹介してきましたが、一方でこのツールにはデメリットがあることも意識しなければなりません。

まず一つが、対面コミュニケーションの減少という点です。何でもチャットで済ませてしまうと、リアルなコミュニケーションが相対的に低下する可能性も否めません。定期的に会議を開催したり、重要なタスクの場合は口頭を交えることをルール化したりする工夫が必要になるでしょう。

また、無駄なコミュニケーションの横行というマイナス面もあります。業務とは関係のないプライベートなやりとりが重要なタスクをしのいでしまうこともあるかもしれません。そればかりではなく、愚痴や不満が書き込まれてネガティブコミュニケーションの温床となり、生産性の低下ややる気の阻害などが起こることもありえるのです。

したがって、ビジネスチャットツールを導入する際には、運用ルールの明確化や社員のリテラシー教育も併せて行なっていくことが大切といえます。(提供:自社ビルのススメ


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