日本国内で自社ビルを購入する場合、“地震リスク”への備えは必須となります。いつ、阪神淡路大震災や東日本大震災、さらには関東大震災クラスの大きな地震が発生するかわかりません。政府の地震調査研究推進本部によると、今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの巨大地震が起こる可能性は、南海トラフ沿いで70~80%と予測されています。

もし地震で自社ビルが倒壊してしまえば、多大な損失は免れません。だからこそ自社ビルの購入を検討する際には、もしものことを考えて、大きな地震に耐えられるビルを選ぶ必要があるのです。そのときに、とくに重要なのは“耐震基準”についての理解です。耐震基準について知り、理解を深め、地震リスクに備えられるようにしておきましょう。

そもそも耐震基準とはどのようなものなのか

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(画像=shigemi okano/Shutterstock.com)

そもそも耐震基準とは、建築物や土木構造物を設計・建築する際に、それらが最低限の耐震能力を有しているかどうかを判断するための基準です。具体的には、壁の強度や配置、壁のバランス、地盤の地耐力や地質に合わせた基礎構法になっているか、さらには基礎にひびが入っていないかなどがチェックされます。ポイントは、地震に耐えられるかどうかです。

建築物が地震に耐えられるかどうかを判断する指標としては、大きく「水平震度」と「保有水平耐力」があります。水平震度とは、地震が発生したときに、構造物にかかる“水平加速度の重力加速度に対する比”のこと。つまり水平震度からは、構造物に対して水平方向に、構造物の重量に相当する慣性力がどの程度作用するのかを知ることができます。

一方で保有水平耐力とは、構造物が水平方向に耐えられる力(抵抗力)のことです。各階に設置されている柱や耐力壁、筋かいが負担する水平せん断力の和から求められます。建築基準法においては、高さ13m超または軒の高さが9m超の特定建築物(高さ31m以下)に対して、「保有水平耐力は必要保有水平耐力以上であること」が定められています。

知っておきたい2つのキーワード

耐震基準には、大きく2つの種類があります。「旧耐震基準」と「新耐震基準」です。それぞれの違いについて理解しておきましょう。

・旧耐震基準
旧耐震基準は、現行の耐震基準である“新耐震基準”の前身です。そのベースは、1948年に発生した福井地震による被害を受けて、1950年に制定された建築基準法にあります。旧耐震基準では、人命の保護や財産の保全が主な目的とされていたものの、巨大地震への備えとしては最低限の基準にとどまっていました。そのため、鉄筋コンクリートの柱部を強固すること、基礎部分のコンクリート化などが順次、義務化されていきました。

・新耐震基準
旧耐震基準から新耐震基準への改正が行われたのは、1981年6月1日のことです。新耐震基準では、たとえ大地震が発生しても、人命に関わるような甚大な被害が出ないことを基準としています。具体的には、震度5強程度の中規模地震ではほとんど損傷せず、震度6強から7の大規模地震でも倒壊・崩壊しない強度を有している建物。それが、新耐震基準をクリアした建造物というわけです。

・それぞれの違いとは
旧耐震基準と新耐震基準の違いは、“大規模地震に耐えられるかどうか”にあります。そもそも旧耐震基準では、中規模地震で倒壊しないことが基準とされており、大規模地震は想定されていませんでした。事実、1995年に発生した阪神淡路大震災では、旧耐震基準の建物に被害が集中しています。震度6強~7の地震がいつ発生してもおかしくない現在では、新耐震基準が基軸となっているのも当然と言えるでしょう。

「住宅・建築物の耐震化について」国土交通省

もしものことを考えたリスクヘッジを

中規模地震だけでなく、大規模地震のリスクを考慮に入れるのであれば、自社ビルの購入は、新耐震基準をベースに検討した方が良さそうです。ちなみに、1981年5月31日迄に建築確認を受けた建造物は旧耐震基準、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建造物は新耐震基準の建物となります。ぜひ、自社ビルを検討する際の参考にしてみてください。(提供:自社ビルのススメ

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