2016年~2017年に、ザイマックス総研が新しいオフィスに入居した企業に対して実施した調査によると、オフィス選びにおいて重視した項目・決め手となった項目の上位は「賃料」「面積」「最寄駅からの近さ」の順となっています。多くの企業はこの3点をメインにオフィスの移転候補地を探していくと考えられますが、具体的にはどのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。

オフィス賃料はどうやって調べる?

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(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

オフィスの賃料の相場や空室率の推移などは、オフィス仲介大手の三鬼商事やCBRE、三幸エステートなどが毎年四半期ごと、もしくは毎月調査結果をまとめて発表しています。こうしたデータは日経新聞などでもしばしば取り上げられるので、注目してみるとよいでしょう。
なお、三鬼商事によると今年3月時点での東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の3月時点の平均賃料は21,134円/坪あたりで、63カ月連続の上昇です。一方、平均空室率は1.78%と、2019年に入って横ばいでの推移が続いているものの低位水準を維持しています。

オフィス環境改革の盛り上がり、1人あたりオフィス面積は拡大

ザイマックス総研の同調査によると、オフィス移転の理由は「人員増で手狭になった」「従業員のモチベーションを上げるため」「業務効率化・生産性向上のため」といったものが多く、昨今の好景気や「働き方改革」、人材のリテンション(引き止め)など、積極的な理由でのオフィス移転が多いようです。

また、60.7%の企業が新オフィスに移転すると同時に、オープンなミーティングスペースやリフレッシュルームなど、働く環境を向上するためのレイアウトを取り入れています。
オフィスの適切な面積水準については、同じくザイマックス総研の「1人あたりオフィス面積調査(2017年)」などを参考にしてみましょう。2017年の1人あたりオフィス面積(東京23区)は、3.81坪です。既存オフィスよりも新規オフィスのほうが1人当たり面積が広いのは、リフレッシュルームなどを取り入れたためと考えられます。

立地は企業イメージを左右する、「穴場」を探すのもおすすめ

そして最寄り駅に関しては、やはり複数の路線が乗り入れており通勤に便利なターミナル駅が人気です。ただ、ターミナル駅の近くはオフィス賃料も跳ね上がる傾向があります。例えば都内であれば、田町、浜松町、神田、四谷のように「ターミナル駅ではなくともその付近で徒歩移動をすれば複数の路線にアクセスできる」という穴場を探してみるのもよいでしょう。

昨今、オフィスは人材採用や企業ブランディングの広告塔としての役割も果たします。「立地からくるイメージ」も重視すべきポイントです。
例えば、「ビッドバレー」とも呼ばれる渋谷や六本木には外資系のIT企業やスタートアップが集積しています。ほかにも霞が関近辺なら政府系機関や海運関係、近年再開発が進む虎ノ門エリアは外資系や公的機関、丸の内なら金融や不動産、出版なら神保町、情報産業なら新宿、士業の事務所は飯田橋……というように、漠然とした業種と街のカラーがリンクできるでしょう。
たかがイメージ、されどイメージで、実は人材を獲得するときにこうしたオフィスの立地が与える印象は見過ごすことができないポイントであることが多いものです。とくに、新卒など若い方を中心に獲得したい場合は、考慮しておくとよいでしょう。

オフィスは「会社の名刺」である

オフィスは単なる働く場ではなく、従業員のモチベーションを左右し、企業のブランドイメージまでも形作ります。オフィスは「会社の名刺」といっても過言ではありません。
オフィス移転を検討している場合は、上記に挙げた3つのポイントを重視しつつ、どういった企業を目指したいかを今一度考えてみるとよいでしょう。(提供:自社ビルのススメ


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