自らの事業を長期に渡って発展させていきたいと考えている経営者であれば、ゆくゆくは“自社ビル”を所有したいと考えている方もいるのではないでしょうか。事業拡大はもちろんのこと、対外的にも社内的にも、自社ビルを所有することは経営に大きなインパクトを与えます。その点、早い段階から検討をはじめることもまた、経営者の仕事と言えるかもしれません。

自社ビルの購入を検討する場合、大きく2つの視点で考える必要があります。具体的には、「一から新しく建設する」のか、それとも「中古ビルを購入する」のかです。
そこであらためて、自社ビルを購入する際の新築ビルおよび中古ビルの違いについて考えていきましょう。

新築ビルの特徴とメリット・デメリット

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(画像=shigemi okano/Shutterstock.com)

一から自社ビルを建設する場合、何もないところ(更地)から物件をつくることになるため、自然と選択肢が広がります。たとえば、建物の仕様や設計さらには設備機器の選択なども規制の範囲内で自由に行なえるのが特徴です。その点、自社の経営状況やビジョン、働き方などに合わせて職場を構築できるところが、新築ビルにおける最大のメリットと言えるでしょう。

一方、新築ビルのデメリットとしては、初期費用が高額になってしまう点が挙げられます。更地から自社ビルを建てる場合、設計費や建築費だけでなく、資材費、申請・登録費、さらには租税公課にかかる費用も捻出しなければなりません。地価が高い都市部に建てる場合、予算によっては敷地面積の小さい“ペンシルビル”のような自社ビルになることも覚悟すべきでしょう。

また、設計から竣工までに時間がかかる点も見逃せません。新築の場合、スムーズに進んだとしても、設計から竣工まで1年前後はみておく必要があります。そうなると、業種・業態によっては、移転するまでの間に状況が変わっている可能性もあります。そのため、新築で自社ビルを取得する企業には、財務状況を含めた経営の安定性が求められます。

中古ビルの特徴とメリット・デメリット

自社ビルを中古で購入する場合のメリットとして分かりやすいのは、新築と比較して購入資金が安く済む、そして移転までの期間が短くて済むことです。では、それ以外にもメリットがあるのでしょうか?
注目すべきは金額です。都心の中古ビルを土地付きで購入する場合、実は土地だけで購入するより安い場合が多いのです。土地だけの場合は、開発の可能性が広がることで、土地の価格は上がりがちです。しかし、その上にすでに中古のビルがある場合、使用用途が限られてしまうので、金額が必然的に抑えられてしまうのです。
さらに、中古の場合は、すでに入居者記録があるので、その記録からどのような方にどういう内容で利用されていたかが分かるため、ビルの価値が判断しやすいというメリットがあります。
また、スペースに限りがある都心に関しては、立地の良い場所ほど先に商業ビルが建つ傾向にあるので、条件のいい場所に建っているのは中古ビルとも言えるでしょう。

デメリットとしては、ビルの書類の整備状況(建築確認等)を踏まえたうえで適正価格を判断しなければいけないこと。入居前の修繕費やリノベーション費用を正しく見積もることも重要です。そのため、自分たちで判断するのではなく、専門家の協力を得るのが不可欠と言えます。

最終的には総合的な判断が必要となる。

このように新築ビルには自由に計画できるメリットはありますが、長期で対応できる安定した経営と計画性が重要です。中古ビルは自由度が限られますが、すでにオフィスとしての利便性やビルの価値が実証されておりかつコストが安いため、経済的と言えるかもしれません。今後は中古ビルも選択肢の一つとして総合的に判断してはいかがでしょうか?(提供:自社ビルのススメ

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