資産運用の王道は「分散運用」と言っていいでしょう。資産運用の有名な格言の一つに「卵は一つのカゴに盛るな」というものがあります。これは、卵を一つのカゴに盛ってしまうと誤ってそのカゴを落としたときに全部の卵が割れてしまう可能性があるため複数のカゴに分けておけば、そのうちの一つのカゴを落としても他のカゴの卵は無事に済むという意味です。

つまりリスクを分散させることで運用のパフォーマンスを上げることが期待できます。また分散の方法は「資産の種類・銘柄」「地域」「時間」といった3つの方法が主流です。リスク要因を複合的に組み合わせることによって全体的にリスクコントロールを行うことができます。本記事では、ポートフォリオを見直しする重要性や資産の組み換えによるパフォーマンス向上について解説します。

ポートフォリオは定期的に見直しが必要

資産
(画像=boophuket/stock.adobe.com)

分散された保有資産の一覧表や金融資産の組み合わせのことを「ポートフォリオ(Portfolio)」と呼びます。日本語に直訳すると「紙ばさみ」「折りかばん」「書類入れ」といった意味の言葉です。有価証券の書類をファイルにはさんで保管するというところからいつのまにか「保有する有価証券」「保有する資産一覧」を意味するようになったと言われています。

また一定以上の資産を保有している人は、その資産ポートフォリオを定期的に見直すことが必須です。なぜなら世界経済・日本経済の動向や市場の変化、地震・台風などの天災、法律の改正などなど資産運用の環境は日々変化し続けているからです。長年ポートフォリオを見直しせずに放置しておくと気づかぬ間に資産が目減りしてしまうことも起こりえます。

年金基金などの機関投資家もそれぞれのポートフォリオ理論に基づき運用目標にあった基本ポートフォリオを策定するとともに見直しを3~5年ごと行っている傾向です。

リスク管理の視点からは実物資産の組み入れも

一般的に金融用語としてポートフォリオと言えば有価証券など金融資産の組み合わせのことを指します。一方でポートフォリオに近い言葉として「アセットアロケーション(Asset allocation)」という言葉はご存じでしょうか。これは「資産配分」という意味です。ただしポートフォリオよりも広い範囲で複数の種類の資産をどのように配分するか決めることを指します。

アセットアロケーションに基づいた資産の個別商品の組み合わせがポートフォリオになるわけです。リスク許容度に応じて適切に資産を配分するのがアセットアロケーションのため、金融資産に限定せず実物資産も組み入れるのが最適な姿といえるでしょう。

金融資産と実物資産のメリット・デメリット

金融資産の種類は代表的なものだけでも現金・預貯金、株式、債券、投資信託、生命保険、商品券・小切手などさまざまです。一方、実物資産には不動産系(土地、建物)、貴金属系(金、銀、プラチナなど)、コレクション系(絵画、クラッシックコインなど)などがあります。金融資産と実物資産との違いやそれぞれのメリット・デメリットを比較してポートフォリオを組んでいくことが必要です。

項目金融資産実物資産
流動性高い低い
取引コスト低い高い
価格の透明性高い低い
価格の変動大きい小さい
取引の単位小さい大きい
タックスメリット小さい大きい

一般的に金融資産は実物資産と比較して以下の特徴があります。

  • 流動性が高い
  • 取引コストが低い
  • 価格の透明性が高い
  • 価格の変動が大きい
  • 取引の単位が小さい
  • タックスメリットが小さい

一方の実物資産は金融資産と逆の特徴です。

  • 流動性が低い
  • 取引コストが高い
  • 価格の透明性が低い
  • 価格の変動が小さい
  • 取引の単位が大きい
  • タックスメリットが大きい

これらを踏まえて資産を組み合わせていきます。ここで重要なのは、ポートフォリオの最適解は「資産のボリューム」「人生のステージ」などの要因により一人ひとり異なるということです。具体例を挙げて説明しましょう。

資産家Aの場合(金融資産100%→金融資産60%+実物資産40%)

資産家Aはもともと企業オーナーでビジネスの成功で資産を築き上げました。現在は会社をバイアウトして50億円の金融資産を持っているとします。この時点では金融資産100%のポートフォリオです。高齢化に伴い相続対策を意識するようなフェーズでは、ポートフォリオを見直し金融資産から実物資産へと組み換えることによって税務メリットを享受することが可能です。

収益不動産を購入することで相続税評価額を下げることができるため、主に税務メリットを活かしたポートフォリオ見直しとなります。例えば現金で20億円の収益不動産を購入したとするとポートフォリオは金融資産60%、実物資産40%です。

ビジネスパーソンBの場合(実物資産100%→金融資産100%)

ビジネスパーソンBが相続により若い年齢で不動産を譲受した場合を考えてみましょう。いろいろな選択肢が考えられますが、Bが当該不動産以外の資産がほぼなく「不動産を売却して相続税を支払い残金を金融資産として運用を行った」とします。この場合、相続した不動産という実物資産100%のポートフォリオから金融資産100%のポートフォリオへと組み換えたことになります。

このように実物資産と現物資産は、各人の資産内容や状況によってどの配分がよいかが大きく変わってしまうのです。

実物資産のポートフォリオを考える

コロナ禍により世界経済の見通しが不透明となり「金(ゴールド)」や「不動産」といった実物資産が買われている局面にあります。

金(ゴールド)

金(ゴールド)はコロナ禍以前から値を上げていましたが2020年以降の上昇が目覚ましものでした。田中貴金属の税込み小売価格表によると2020年8月7日時点で1グラムあたり7,769円と史上最高値を更新しています。2020年1月時点では1グラムあたり5,524円となっており約半年で+2,245円(+約40.6%上昇)しました。まさに「有事の金」の面目躍如といったところです。

不動産

実物資産のもう一方の雄が「不動産」です。株式会社不動産経済研究所が公表している「首都圏のマンション市場動向」によると2020年7月における首都圏の新築マンションの平均価格は6,124万円でした。前年同月比を見ても依然として高値圏で推移していることが分かります。

・首都圏の新築マンション平均価格推移

2019年2020年前年同月比
3月6,552万円6,156万円-396万円
4月5,895万円6,216万円+321万円
5月6,093万円6,485万円+392万円
6月5,964万円6,389万円+425万円
7月5,676万円6,124万円+448万円

例えば金の場合は配当金や分配金がなくインカムゲインが生まれないため、キャピタルゲインのみの運用スタイルになります。しかし収益不動産の場合は安定的にインカムゲインが生じるだけでなく、将来的にはキャピタルゲインを得られる可能性も十分にあるのです。これは金と比較した場合における収益不動産の大きな魅力ですが、「取引価格が大きい」「流動性が低い」といった点はデメリットになります。

収益不動産のデメリットを回避できる「区分所有オフィス®」

このデメリットを解決する一つの手が「区分所有オフィス®」です。「区分所有オフィス」は、東京都心のブランド立地に建つ中規模の高品位オフィスビルをフロア単位、または部屋単位で分譲する不動産商品です。一棟まるごとオフィスビルを購入するのに比較して10分の1程度の価格でオフィスビルを取得することができます。

また価格が抑えられることで流動性が増すため、売却したいときに売れない「流動性リスク」も低減させることが可能です。自社ビルとして使用するだけでなく自社使用分以外のスペースをテナントとして賃貸することで賃料というインカムゲインを得ることが期待できるでしょう。「区分所有オフィス」は立地にアドバンテージがある不動産商品です。

そのため将来的な資産性、収益不動産としての事業性も保たれています。資産ポートフォリオの見直しを考えている人は、「区分所有オフィス」も一つの選択肢として検討されてはいかがでしょうか。

※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの登録商標です

(提供:自社ビルのススメ


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