会社としての信用力向上のために、あるいは賃料コストの見直しのために自社ビルの取得を検討する際、どのようなポイントで物件を選ぶべきでしょうか。最も重視すべきは立地です。立地の良い場所に自社ビルを取得することは、財務基盤を強化し、企業の持続的な成長を実現することにつながります。

一口に立地といっても、最寄駅からの距離や周辺環境など基本的な条件から、仕事先へのアクセス、業種に適したエリア別の特徴など、検討すべきポイントは多々あります。自社ビルの資産価値を左右する立地選びのポイントを確認します。

立地
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<目次>
1.建物は変えられるが立地は変えられない
2.東京のエリア別立地選択のポイント
3.東京で資産価値が高まるエリア
4.オフィス移転は経営戦略とも密接につながる

5.自社ビルの資産価値は事業継続につながる

6.低リスクで自社ビルを持つなら「区分所有オフィス®」が最適

1.建物は変えられるが立地は変えられない

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不動産の価値は何で決まるでしょうか。土地の広さや形状、建物の構造・規模・築年数・管理状態など、いろいろな要素があります。そのなかでも最も大切な要素は、間違いなく「立地」です。建物は、購入後にリノベーションしたり建て替えたりできますし、管理状態も改善することはできます。しかし、立地は変更できせません。

どの駅から何分の場所にあり、交通利便性はどうなのか、周辺にはどのような施設があるのか、どの用途地域に属しているのか……といったものを含めた立地の要素が不動産の価値のほとんどを決定付けるといえるでしょう。

1-1.ビジネスを展開する上での立地選びのポイント

ビジネスを展開する上で、立地は非常に重要です。良い立地のポイントとして、以下の3つが挙げられます。

・国内、国外出張のアクセスが良いエリア(新幹線、高速道路、空港が近い)

交通アクセスが良いエリアにオフィスがあれば、国内および国外出張に便利です。新幹線の停車駅である、高速道路のインターチェンジに近い、空港に近いといった立地であれば、それぞれ鉄道、自動車、飛行機で出張する際の利便性が高まります。

・取引先や役所、金融機関へのアクセスが良いエリア

取引先がある程度固定されている会社であれば、オフィスは先方に近いほど有利になります。営業社員がフットワークの良い対応をすれば、取引先からの信頼を得て取引量が増えるかもしれません。

役所や金融機関も、各種手続きや振込・入出金などを考えると近いほうが有利です。特に金融機関は、営業上の急な振込に対応するためにも、近い場所にあるのが理想です。通販業務を行う会社であれば、郵便局や宅配便営業所が近いと便利です。

・企業ブランド、イメージが上がるエリア(新卒採用で有利)

企業は、ブランドイメージを重視しています。オフィスの所在地が会社の格を上げてくれることもあるからです。例えば、商社であれば丸の内や大手町、先進的なイメージの会社であれば六本木や渋谷、高級アパレルや宝飾品を扱う会社であれば銀座や青山、表参道などです。

企業イメージが良くなれば新卒採用でも応募者が増え、有能な人材を獲得できる可能性が高くなります。これらの立地では購入費用や家賃は高いですが、それだけの価値はあると言えるでしょう。

1-2.従業員が働く上での立地選びのポイント

従業員が働く上では、どのような点が立地選びのポイントになるのでしょうか。

・最寄駅からの距離

最寄駅からの距離は、通勤の利便性や営業のしやすさにつながる大事なポイントです。駅からの距離は、どの程度が「近いと感じる」のでしょうか。リビンテクノロジーズが運営するサイト「リビンマッチ」の調査によると、最も多いのが徒歩10分で31.1%を占めています。次いで5分が25%となっており、この意識調査を参考にするなら、オフィスも駅歩10分圏内に構えるのが理想と言えるでしょう。

東京23区内であれば交通網が充実していますので、最寄駅が複数の路線にある物件が多い分有利です。最寄駅が複数あることで、従業員や来訪者にとってはルートの選択肢が増えます。

・周辺環境(飲食店が多い、コンビニが近いなど)

従業員にとって、飲食店やコンビニの位置は重要です。ランチタイムは近くに飲食店、コンビニがあれば便利なだけでなく、往復の時間も短縮できます。終業後も、飲食店で社員同士のコミュニケーションを深めることもできるでしょう。店は駅前周辺に集中していますので、オフィスもやはり駅歩10分以内が理想です。

・自宅からアクセスが良いエリア(通勤しやすい、交通費がかからない)

従業員にとって、自宅から会社までのアクセスが良いのは大きな魅力です。東京にオフィスを構えるのであれば、新宿・渋谷・池袋・東京・品川などのターミナル駅に近い立地を選ぶことで、通勤が便利になります。

最近は職住近接志向の高まりから、会社に近い場所に自宅を構える社員も増えています。交通費がかからない上に、会社から住宅手当が出るケースもあるため、一考の価値があります。

2.東京のエリア別立地選択のポイント

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ここからは、東京で立地を選択する際のポイントをエリア別に見てみましょう。自分が経営する会社が、どのエリアにオフィスを構えれば効果的かを考える必要があります。

・ベンチャー企業が多いエリア

ベンチャー企業(スタートアップ企業)にとって、最初のオフィス選びは極めて重要です。ベンチャー企業が多いエリアにオフィスを構えれば、交流会などを通じて経営者同士の出会いがあり、協業に発展する可能性があります。

ベンチャー企業は最初は規模が小さいので、お互いに協力してネットワークを広げていくことで事業の発展が期待できます。東京23区内では、IT系なら渋谷や五反田、巨大ターミナル駅なら新宿や東京駅周辺がベンチャー企業の多い地域です。豊島区はベンチャー企業への支援に力を入れているので、こちらも検討すべきでしょう。

・老舗企業が多いエリア

老舗企業が多いエリアは、商業地としての歴史が長い地域でもあります。東京都中央区は、日本橋をはじめ江戸商業の中心地として栄えた地域です。老舗企業が多いエリアを見ると、日本橋、京橋、人形町、小伝馬町、八丁堀など、江戸時代を彷彿させる地名が多いです。

このような歴史のある地域にIT企業や外資系企業が進出すると、企業イメージと地名が合わないため、ブランドイメージの向上には向かないでしょう。

・IT企業、製造業が多いエリアなど(業種エリア)

IT企業や製造業など、業種別に特徴のあるエリアもあります。「Newsweek日本版」サイトの報道によると、IT産業従事者が多い市区町村の上位5位(港、千代田、新宿、渋谷、品川)が占める割合は、53.1%(53万2,000人、2014年度)に上っています。同サイトではその理由として、「イノベーションを担うIT産業従事者には、絶えず一流の知や人と接する必要がある」ため、中枢部に集中することを挙げています。

製造業はIT企業と異なり、都心部の事業所数は多くありません。東京都が公表した「2019年工業統計調査報告<平成30年実績>」によると、事業所数の上位5位は大田、足立、墨田、江戸川、葛飾で、下町に集中しています。これらは都心区に比べると不動産価格の相場水準は低いので、比較的少ない費用でオフィスを購入できるメリットがあります。

3.東京で資産価値が高まるエリア

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資産価値が高まるエリアは、家賃や売却価格が高いことに加え、資産価値が落ちにくいことも特徴です。将来売却する可能性があることを考えると、資産価値を維持できるエリアを選ぶことも大事です。

・家賃が高いエリア(売却価格が高いエリア)

家賃が高いエリアは、売却価格が高いエリアであることを意味します。不動産メディア「MIRAIMO」による「東京23区内の家賃が高い区ランキング」では、港、渋谷、千代田、中央、目黒が上位5位にランクインしています。オフィスの住所にこれらの区名があれば、それだけで会社のイメージアップにつながるでしょう。

株式と同様に、不動産も会社の資産の大きな部分を占めます。不動産の一部を売却して、財務基盤を強化することもあるでしょう。人気の立地であれば流動性が高いため、早く売れるだけでなく価格も高めに設定できます。

・資産価値が落ちないエリア

不動産情報サイト「SUUMO」の調査による、リセールバリューで算出した「2019年度資産価値が落ちない街ランキング」の1位は原宿(渋谷区)で、リセールバリューは163.2%でした。リセールバリューとは、築10年前後の中古マンション価格を新築時の分譲価格で割った数値のことで、100%なら新築時の価値を維持していることになります。

2位以下は、馬喰横山(中央区)、みなとみらい(神奈川県)、恵比寿(渋谷区)、東神奈川(神奈川県)、目黒(品川区)、代官山(渋谷区)、神谷町(港区)、明治神宮前(渋谷区)、品川(港区)と、都心区が上位を占めています。※ランキングは駅名表示であり、目黒駅は品川区、品川駅は港区にあります。

都心区の物件は価格が高いですが、10年前後経過しても資産価値が落ちないことがわかります。このデータはマンションの数値ですが、オフィスを持つ場合も東京の都心が有利であることは変わらないでしょう。

4.オフィス移転は経営戦略とも密接につながる

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オフィスを選ぶ際には立地選びが重要ですが、会社といっても業態はさまざまで、社内での業務がメインの会社もあれば、自動車を使い社外での業務がメインという会社もあります。自社の業務に合わせて、最適な立地を選ぶべきことは言うまでもありません。

ただし、オフィスビルを借りるのではなく、自社ビルを取得するという場合には、もう一つ忘れてはいけない視点があります。それは、そのオフィスビルの不動産としての資産価値の高さです。具体的には、希少性の高い大都市の中心部にある不動産を選ぶことです。オフィスを移転する場合は経営戦略とも密接につながります。それが資産価値の向上による財務基盤の強化です。

5.自社ビルの資産価値は事業継続につながる

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なぜ、自社ビルを取得する際には資産価値が重要なのでしょうか?それは取得した不動産が会社の財務基盤を左右することになるからです。自社ビルは、BSの「資産の部」に記入される固定資産です。立地がよく、資産価値の高い自社ビルを取得すれば、BSにおける資産の部が強化されます。

もちろん、銀行から融資を受けて購入した場合には、その分だけ負債の額も増えるので、全体で見れば財務状況に大きな変化はありません。しかし、返済を続けていくうちに負債が減り、資産が厚くなるため、BS全体がどんどん改善されていきます。安全性が増すことで、事業承継もスムーズに行われ、事業の継続につながります。

一方で、「自社ビルなどの固定資産よりも、現預金などの流動資産を多く持っている方が安全」という考え方もあるかもしれません。しかし、これからの時代はそうとも言い切れないでしょう。政府と日銀は2%のインフレ目標を掲げ金融緩和を続けており、実際に物価は上昇しています。インフレ環境のなか、現金を持っておくことは資産を目減りさせることになる懸念があります。不動産であればインフレとともにその価値は高まります。

以上のようなことから、自社ビルを持つことは会社自体の価値を高め、事業を継続するために重要な武器といえるでしょう。だからこそ、BSの強化につながるような資産価値が高く、立地のよい自社ビルを選ぶ必要があるのです。

6.低リスクで自社ビルを持つなら「区分所有オフィス®」が最適

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(画像=picture-cells/stock.adobe.com)

「都心に自社ビルを持つことが有利なのはわかったが、資金面でのリスクが高い」と考える方もおられるでしょう。「テレワーク時代にビルを1棟購入するのはリスクが高い」と考えるのは当然です。

低リスクで自社ビルを持つ方法として最適なのが、「区分所有オフィス®」です。「区分所有オフィス」は、ビルを1棟全部購入するのではなく、ワンフロアごとに購入できる仕組みになっています。例えば、10階建で50億円のビルも、ワンフロアの区分所有なら5億円で購入することができます(価格は物件によって異なります)。

不確実性の時代において大事なのは、無理のない投資で自社ビルを購入することです。「区分所有オフィス」にはさまざまなタイプの物件があるので、まずはラインアップを確認してみることから始めてはいかがでしょうか。以下のサイトでオフィスは「借りる」より「買う」ことの明確なメリット・エビデンスがわかります。

※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの登録商標です

(提供:自社ビルのススメ


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