(写真=PIXTA)

遺産相続といえば、体験する機会はせいぜい1~2度。不慣れな手続きをやっと終えたら「無事に遺産を確保できてホッとひと息……」と感じる方が多いようですね。

しかし、突然税務署員が現れて税金の再納付を求めてきたら?実はこの手の話、よくあるんですね。特に名義預金にまつわる申告漏れは、わかりにくさも手伝って無意識にやってしまうことが多いですね。悪気がなくても、延滞税や加算税が上乗せされますから結果的に大損になりかねません。


「名義預金」とは? どんな預金のこと?

端的に語るなら名義預金とは「家族の名義で開設した口座の預金」のこと。妻や子、孫名義の口座を作ってお金を管理することはよくあることですね。

しかし、お金を入れていた人が亡くなったら?実は、自動的に口座の持ち主のものになるわけではないんです。たとえば銀行印が故人のものであったり、通帳を故人が管理していたりすると?そうなると、故人の財産の一部とみなされ、相続税が加算されることになっているんです。

こうした事態を避けるには、その預金を生前に贈っておかないといけません。しかし情報不足に苦しめられるケースが多く、悲劇が毎年起きています。


名義預金のトラブルが近年顕著です!

国税庁の過去5年間の発表では、相続税調査の8割以上が申告漏れに該当しています。名義預金問題の根深さがうかがえますね。

名義預金扱いされたくないなら、「生前に贈与された」とみなされるように以下の手順を踏むべきです。

・名義を持つ家族が、自身で管理を開始しておく(具体的には、印鑑は自身の印鑑で口座を作り、通帳は自身の手元に置き、いつでもおろせるようにしておくこと。引っ越しをしたときは住所変更も忘れずに)
・贈与契約書を用いて贈与の証明を残す
・贈与税を申告しておく

ただし適切な方法はケースバイケースで変わります。相続税で損をしたくないなら、早めにご相談ください。

奥田 周年 (おくだ ちかとし) 税理士。
OAG税理士法人 資産税部 部長
執筆書籍は、遺産相続と相続税がよくわかる本(日本文芸社:監修)、
ずるいぞ!その相続(かんき出版:編著)、Q&A相続実務全書(ぎょうせい刊: 共著)等多数。相続税・贈与税の専門税理士でチーム相続を組織し、 メディア を主宰。

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