相続税対策を考える資料として、今の財産で相続税がいくらかかるのか知りたいという人は多いはずだ。そのようなときに役立つのが、相続税早見表である。この表を使えば、相続税の概算が分かる。

今回は、相続税早見表の使用方法や見方を詳しく説明する。

井上 通夫
井上 通夫
行政書士。大学卒業後、大手信販会社、大手学習塾などに勤務後、福岡市で行政書士事務所を開業。現在、相続・遺言、民事法務(内容証明、契約書、離婚協議書等の作成)、公益法人業務、各種許認可業務など幅広く担当。

相続税早見表にまつわるQ&A

相続税早見表
(画像=PIXTA)
Q


相続税早見表はいつ使うのか?

相続財産を所有している人が亡くなると、相続が開始する。法定相続人の数や相続財産の金額がある程度判明した時点で、一般的に使用する。相続税の有無や金額を確認するためである。

相続財産を所有している人が亡くなると、相続が開始する。法定相続人の数や相続財産の金額がある程度判明した時点で、一般的に使用する。相続税の有無や金額を確認するためである。


Q


相続税早見表の使用方法は?

一般的な相続税早見表は、縦軸が遺産総額、横軸が法定相続人の内訳となっている。自分の財産、法定相続人の数を当てはめることで、課税される相続税の概算が分かる。

一般的な相続税早見表は、縦軸が遺産総額、横軸が法定相続人の内訳となっている。自分の財産、法定相続人の数を当てはめることで、課税される相続税の概算が分かる。



Q


相続税早見表に記載されている数値は?

縦軸は遺産総額だが、相続税が課税されない財産は含まない。横軸の法定相続人の内訳は、例えば「配偶者と子1人」という記載がされている。これは、配偶者と子どもでは法定相続分が異なるためである。

縦軸は遺産総額だが、相続税が課税されない財産は含まない。横軸の法定相続人の内訳は、例えば「配偶者と子1人」という記載がされている。これは、配偶者と子どもでは法定相続分が異なるためである。


相続税早見表の見方は?

●遺産総額

相続税早見表の縦軸には、「遺産総額」が列記されているが、この金額は被相続人(亡くなった人)の財産のすべてではない。相続財産の中には、相続税がかからないものもあるからだ。

  

例えば、被相続人が所有していた墓地や仏壇、仏具などは、日常礼拝の対象のため、課税されない。相続人が取得した保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額は非課税となる。同じく、相続人が取得した死亡退職金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額も非課税となる。

また相続税の「基礎控除」も差し引く必要がある。「基礎控除」とは、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」である。法定相続人の数が多いほど、基礎控除の金額が大きくなる。

さらに、被相続人が抱えていた債務(借金)も財産から引かなければならない。つまり、被相続人が所有していた財産から、相続税の対象とならない相続財産と債務を引いた金額が「遺産総額」ということになる。

●相続人の数と内訳

相続税早見表の横軸には、「法定相続人の内訳」が記載されている。例えば、「配偶者と子1人」、「配偶者と子2人」と表記している。

  

なぜ配偶者と子どもを分けているかというと、法定相続分が異なるためである。法定相続人が配偶者と子どもの場合、配偶者は常に相続財産の2分の1を相続する。残りの2分の1を子どもが等分で相続することになる。

相続税早見表(配偶者と子ども)

法定相続人が配偶者と子どもの場合、相続税は次のとおりである。

相続税早見表(配偶者と子ども)

相続税早見表(子どものみ)

法定相続人が子どものみの場合、相続税は次のとおりである。

相続税早見表(子どものみ)

早見表とは?

●使用の時期

相続税の申告・納税は、相続が始まってから(被相続人が亡くなってから)、10ヵ月以内である。時間的余裕があるように思えるが、意外と期間は短い。

被相続人の財産を調査して、相続税の課税対象であるかどうか分ける必要がある。さらに財産の価格を算定し、リストアップしなければならないし、法定相続人を確定する必要もある。

具体的な方法としては、被相続人の戸籍謄本を入手することになるが、死亡時の戸籍謄本だけでなく、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になる。被相続人の本籍が何度も変わっていた場合には、すべての戸籍謄本を入手するだけでも、かなりの労力と時間を要する。

被相続人の戸籍謄本がすべて入手できたら、法定相続人を確定する作業に移る。例えば、子どもが先に亡くなっていた場合、その子ども、つまり被相続人の孫が法定相続人になる。この作業も結構手間取るだろう。

相続税がかかる財産と法定相続人が確定したら、いくらぐらいの相続税がかかるのか、相続税早見表で大まかな金額を確認する。

●使用方法

相続税早見表は、縦軸が遺産総額、横軸が法定相続人の内訳である。遺産総額は、1億円までが1000万円ごとに区切ってあり、1億円を超す金額は5000万円ごとに区切ってある。

法定相続人の内訳は、「配偶者と子どもの数」と「子どものみの数」の2パターンの表がある。自分の世帯の状況に合わせて、使い分けることになる。

自分の世帯の遺産総額を縦軸で探し、次に自分の家庭の法定相続人の内訳を横軸で探して、交差する箇所が相続税の金額となる。遺産総額は、1000万円単位、5000万円単位で表示してあるので、自分の家庭の遺産総額に近い金額から相続税の概算を探すことになる。

相続税の計算方法

相続税は、以下の計算式で算定される。

 (被相続人の全財産-非課税財産-債務-基礎控除-各控除額-控除額)×相続税率

1つ目の「被相続人の全財産」とは、亡くなった人が残した財産のすべてである。被相続人名義の預貯金はもちろん、車、骨相品などの動産、家や土地などの不動産のすべてである。

2つ目の「非課税財産」とは、被相続人の財産でも、相続税がかからないものである。被相続人が所有していた墓地や仏壇、仏具などは、日常礼拝の対象のため、課税されない。

また、相続人が取得した保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額は非課税となる。同じく、相続人が取得した死亡退職金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額も非課税となる。

3つ目の「債務」は、被相続人が抱えていた借金である。契約書などを確認して、借金が完済していない場合は、残りの借金の金額を計算しなければならない。死亡までに料金などが未払いであれば、その金額も債務に含まれる。

4つ目の「基礎控除」は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」である。法定相続人の数が多ければ多いほど、基礎控除の金額が大きくなり、それだけ相続税が少なくなる。

5つ目の「各控除額」は、配偶者控除や未成年者控除などである。法定相続人によっては、これらの控除の制度が適用されることになる。

6つ目の「控除額」は、相続税率を算定する際に、相続税対象財産から控除することが認められているものである。例えば、遺産総額が5000万円の場合、相続税率は「20%」であるが、控除額は「200万円」となっている。

つまり、遺産総額が5000万円であれば、まず200万円を引いて、その後20%をかけることになる。式で表すと、以下のようになる。

(5000万円-200万円)×20%=4800万円×20%=960万円

相続税率と控除額

相続税額の算出方法は、もらった財産に直接税率を乗じるというものではない。遺産総額から基礎控除額を引いた金額を法定相続分で分割したと仮定したうえで相続税額を計算し、その後具体的な相続分に応じて本当の納税額を算出するといった流れになる。

この「法定相続分で分割したと仮定したうえで相続税額を計算」する際には相続税率を使う。具体的には法定相続分に応ずる取得金額に相続税率をかけ、その金額から控除額を差し引いたものが仮の相続税額となる。

以下の表では、法定相続分に応ずる取得金額とそれに対応した税率、控除額を一覧にしている。各人の相続税額を算出する際に確認してほしい。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

相続税早見表の活用方法

相続税早見表のメリットは、実際の遺産総額が確定する前に、おおまかな相続税が分かる点である。

相続税を確定させるためには、非課税の遺産や控除額が判然としないといけない。そのために、多少の労力や時間が必要である。

しかし、法定相続人の数と内訳、大まかな遺産総額が分かれば、相続税早見表を使ってある程度の相続税が分かる仕組みになっている。

その結果、相続税がかかるのか、かかるとすればいくらぐらいになるのかが、早い段階で分かる。相続税の金額がある程度分かれば、相続人は納税するための現金を早めに準備できるだろう。