「がん保険のみ」は健康な人にはお薦めできない

では、医療保険に加入せず、がん保険に加入することは意味があるのだろうか。結論からいうと、健康な人が医療保険に加入せず、がん保険だけに加入するというのは、基本的にお勧めできない。なぜなら、どんな病気になるかは誰もわからないので、保障範囲ががんに限定されるがん保険だけ入ることはリスクが大きいからだ。

日本の健康保険制度は優れており、医療費の自己負担額は3割であるし、高額療養費制度もあるので、毎月何十万円も医療費がかかるということはない。したがって、医療保険に加入せず貯蓄で対応するというのであれば、そのような選択でもよいだろう。

大病を患い、長期の入院を余儀なくされると、仕事もできない状況に陥る可能性がある。もし、医療費を貯蓄で準備するというのであれば、少なくとも何百万というレベルで常に確保できていることが必要となる。

高額療養費制度は、原則として後払いなので、高額の医療費が発生した場合には、まずは自分で払わなければならない。負担が厳しい場合には、高額療養費支給見込み額の8割相当額を無利子で借りられる「高額医療費貸付制度」や、医療費が高額になる見込みの場合に事前に申請して、自己負担分の支払いのでよくなる「限度額適用認定証」の使用も考えられるので、それも踏まえて保険に加入するか検討するとよい 。

医療保険に加入できないから「がん保険」?

次に、健康ではないため医療保険に入れないから、やむを得ずがん保険に加入するという選択はどうだろうか。診療報酬の改定により、がんであっても通院での治療が増えてきている。また、先進医療など健康保険の対象でない高額な医療費が発生することも多い。そのため、がん保険に加入できるのであれば、がんに備えてがん保険に加入するという選択自体は悪くない。

ただ、「がん保険に加入できるのであれば」という前置きをしたのは、医療保険に加入できないということは、保険的にみてリスクが高い人ということなので、がん保険といっても加入できない可能性がある。その点は注意が必要である。

保険というものは入りたいと思うときには入れない。若くて健康な時には保険に興味はないかもしれないが、入りたいと思わない時こそ最低限の保険には加入しておいた方がいいだろう。 (ZUU online 編集部)