老人ホームに入居した場合

平成25年度までも、介護の必要性からの非相続人が老人ホームへ入居して空き家となった場合、小規模宅地の特例は認められていましたが、制約が多くありました。適用を受けるには、老人ホームの所有権や終身利用権を取得しないといった制約があり、いつでも戻れるように自宅を維持管理することが求められていました。病院への入院と同等の考え方として、介護のための老人ホームへの入居は位置づけられており、終身利用権を取得した有料老人ホームへの入居は、生活の拠点の変更という観点で認められませんでした。

しかし、特別養護老人ホームに順番待ちで入居できず、終身利用権を支払って、有料老人ホームに入居して適用されないのは不公平感があるとの声が上がっていました。平成26年1月からは、被相続人が老人ホームに入居した場合の要件も緩和されています。被相続人が、老人ホームに介護の必要性から入居した場合、自宅を他人に貸していなければ、小規模宅地の特例を受けることができます。生計を同一としていない親族が入居した場合も認められなくなります。

具体的に対象となる老人ホームは明文化されており、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、有料老人ホーム、軽費老人ホームです。介護老人保健施設や認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、サービス付き高齢者向け住宅、障害者支援施設や共同生活援助を行う住居も認められます。被相続人が要介護認定、または要支援認定を受けていることも条件となります。生計を同一とする親族が、被相続人が老人ホームへ入居後も引き続き居住している場合には、他の要件を満たしていれば、引き続き適用されます。

他の相続人との関係

小規模宅地の特例を利用しようとしたとき、特定の相続人が相続をすることで適用されることが多くあります。例えば、父親の土地に建てた家に長男夫婦が同居していた場合、父親が亡くなると、長男は特例が適用されますが、次男には適用されません。この場合、宅地の土地代に見合う他の遺産があれば、長男が宅地を相続し、次男が他の遺産を相続すると有利です。しかし、宅地の土地代に見合うほどの他の資産がない場合には、長男が現金を保有していれば、次男に相続相当分の土地代を支払うことで、税務上有利に進められます。

制度を理解しておき特例の適用を受けよう

小規模宅地の特例は、意外に複雑な制度です。地価が高い東京都心の土地ほど、小規模宅地の特例を受けるメリットが大きくなります。子の住まい方によっては、特例を受けられないこともありますので、相続の際に慌てないように、実際に適用を受けられるのか、税理士や公認会計士などに確認しておくとよいでしょう。

平成27年1月以降は、相続税の基礎控除額の縮小により、今までは相続税が発生しなかった場合でも、相続税の対象となることがあります。現行は、相続税の基礎控除額は5000万円+1000万円×法定相続人ですが、平成27年1月からは、3000万円+600万円×法定相続人です。例えば、父親が亡くなった場合に、母親と子供2人が法定相続人のケースでは、8000万円から4800円に減額となります。相続税の支払い対象となる場合には、小規模宅地の特例が適用されないか、調べてみましょう。(ZUU online 編集部)