本記事は、山中 伸枝氏の著書『中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版株式会社)の中から一部を抜粋・編集しています

転職先の会社が企業型確定拠出年金をしていたら、iDeCoはどうなりますか?

iDeCo 就職先
(画像=PIXTA)

2017年の法改正で、iDeCoをそのまま保有することも、iDeCo口座を閉鎖し企業型確定拠出年金に資産のすべてを移換することもできるようになりました。それぞれメリット・デメリットがあるので、総合的に判断する必要があります。

iDeCo口座を保有するメリットは、iDeCo内で運用中の金融商品をすべて売却、現金化して、企業型に資金移換する必要がないという点です。ただし、運用指図者として運用のみを継続する時も、毎月の手数料がかかります。

一方、企業型の運用商品がより魅力的であること、iDeCoの運用状況が良好で移換時に利益の確保ができること、移換時の手数料(運営管理機関による)を確認し、iDeCo口座を保有するよりメリットがあれば、企業型に移換します。

加入していた企業型確定拠出年金、転職後はどうしたらいいですか?

退職により企業型確定拠出年金の加入資格を失った場合、6カ月以内に手続きを行なわないと、全資産が国民年金基金連合会に「自動移換」されてしまいます。

自動移換されると、その後は運用もされず、ただ手数料のみが差し引かれ資産が目減りしますし、いざ自分の資金を出そうとする時も手数料が引かれたりしますので注意が必要です。また、老齢給付を一括で受け取る際の退職所得控除の期間計算には、自動移換されていた期間は入りませんので、不利になります。

転職先に企業型確定拠出年金がない場合は、iDeCoの口座開設を行ない、資金をiDeCoに移します。転職先に企業型確定拠出年金がある場合、原則はそちらに資金を移しますが、iDeCoの口座開設を別途行ない、運用指図者として前会社の企業型確定拠出年金の資産の運用を継続することもできます。

仮にいずれの手続きも間に合わず、自動移換された場合は、運営管理機関に申出をして、自動移換された資金を自分の現口座に移換する手続きを行ないます。

企業型確定拠出年金から移換したお金の運用で気をつける点は?

企業型確定拠出年金から資金を移換する場合、まとまったお金がiDeCoの口座に移されてきます。運営管理機関によっては、そのお金を指定して一気に投資信託を買いつけできるところもあります。

ただし、資産運用の基本は「分散」です。分散とは、投資先の分散と時間の分散の2つの意味があります。

たとえば、投資信託はその値段「基準価額」が毎日変動します。特に企業型からまとまった資金が移換されたタイミングで、特定の投資信託を一気に購入すると、その時の基準価額によっては高くなりすぎたところで購入してしまい、あとで価額が下がり損をしてしまうこともあり、あまりお勧めはできません。その場合はいったん値動きのない定期預金などに資金を移し、そこから希望の投資信託を定時定額購入されることをお勧めします。

中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方
山中 伸枝(やまなか・のぶえ)
株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役、心とお財布を幸せにする専門家、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、FP相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事 1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務。これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、ファイナンシャルプランナー(FP)として2002年に独立。現在、年金と資産運用、特に確定拠出年金やNISAの講演、ライフプランの相談で全国を飛び回りながら、ウェブやマネー誌などで情報発信するなど、お金のアドバイザーとして精力的に活動している。金融庁サイト有識者コラムや「東洋経済オンライン」での連載、日経プラス10、日経CNBC、全日空機内番組へのメディア出演など。 著書に『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)、『書けばわかる!節約・預金だけではもったいない わたしにピッタリなお金の増やし方』『ど素人が始める iDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、共著に『いっきにわかる!つみたてNISA&iDeCo令和スタート版』(洋泉社MOOK)など多数。

山中伸枝オフィシャルサイト https://www.nobueyamanaka.com/

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