人生100年時代といわれる今、老後の生活が不安という人も多いだろう。老後の資産形成におすすめなのが節税効果などのメリットも多いiDeCo(イデコ)だ。加入を検討しているのであれば、アラフォー世代までに始めたほうがいいだろう。

iDeCo(イデコ)とは

iDeCo(イデコ)を始めるならアラフォーまでを目安に!
(画像=naka/stock.adobe.com)

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことだ。自分で掛け金を設定し、毎月積み立て自分で運用していくのが大きな特徴といえる。そのため、年金としての受取額も掛け金や運用成績によって異なっていく。

最大のメリットともいえるのが税制面の優遇措置だろう。

  • 毎月の掛け金は全額「所得控除」の対象となる
  • 運用益に税金がかからない
  • 受取は「退職所得」「公的年金等の雑所得」となるため、あまり税金がかからない

一つずつ見ていこう。

所得税・住民税

iDeCoの掛け金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除することが可能だ。給料などの給与所得や雑所得などの合計額から所得控除できるため、結果的に所得税や住民税の節税となる。

運用益

iDeCoは、自分で金融商品を選択して運用を行う。運用益が出た場合の税金は非課税となる。

受給時

iDeCoは、受給年齢に到達すると一時金または年金として受け取ることができる。一時金の場合は退職所得、年金の場合は雑所得となる。前者だと退職所得控除が、後者だと公的年金等控除が年間の収入額から差し引かれる。どちらに該当しても、課税される所得額は大きく圧縮され、節税となる。

iDeCo(イデコ)の節税額をシミュレーション

節税を考える際、会社員にとって気になるのが「毎年の所得税や住民税をいくら節税できるのか」ということだろう。節税額は、年収や毎月の掛け金によって異なる。例えば、給与年収700万円の会社員の節税額は次のようになる。年額で試算してみた。

(例)給与年収700万円(額面)の会社員。同居家族は配偶者(専業主婦)と長男(18歳・高校生)の場合。年間の社会保険料は約46万円とする。

税金の種類年間節税額
iDeCo掛け金月額5,000円月額1万円月額2万円
所得税(年額)約1万2,000円約2万4,000円約4万4,000円
住民税(年額)約6,000円約1万2,000円約2万4,000円
合計約1万8,000円約3万6,000円約6万8,000円

毎月2万円の掛け金(年24万円)の場合、所得税・住民税合計で年間に約6万8,000円もの節税が期待できる。資産形成をしながら節税できるため、iDeCoは会社員にとって、とても有用な方法といえるだろう。

iDeCo(イデコ)はアラフォーまでが良い2つの理由

iDeCoは、資産形成をしながら節税できる有用な商品であるが、いつまでに加入したら良いのだろうか。原則、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の公的年金(国民年金・厚生年金)の加入者がiDeCoに加入できる(ただし、2022年5月から海外居住者でも日本の国民年金に任意加入しているとiDeCoに加入できる)。老後のための資金を資産運用していくという性質を考えると、できるだけ早い年齢から加入したほうが運用期間も長くなる。運用期間が長ければリターンの振れ幅が平準化し、かつ複利効果も期待できることから、安定的な収入につながる可能性がある。

20歳から加入すると、最も長期間非課税の恩恵を受けられるが、iDeCoに興味があるのであれば、遅くとも30代後半から40代半ばのアラフォーまでに加入しておいたほうが良いだろう。

ここからは、以下の二つのポイントについて確認していこう。

60歳で受給が可能になる(受給開始年齢)

アラフォーまでに加入しておいたほうが良い理由の一つに受給開始年齢がある。iDeCoは、60歳から受給を開始することができるが、60歳から受給できる条件として10年以上加入しておくことが必要だ。60歳の時点で加入期間が10年に満たない場合は、61歳、62歳と受給が先送りになる。50歳を過ぎてからiDeCoに加入しても60歳時点で受給することはできないのだ。

そのため、50歳より前、できればアラフォーまでに加入しておいたほうがいいだろう。

加入可能年齢が拡大される

アラフォーまでに加入すると良いもう一つの理由は、加入可能年齢の拡大だ。2021年7月時点でiDeCoは59歳までしか加入できない。しかし、労働している高齢者が増加しているなどの理由から、2022年5月からは65歳未満(64歳)まで加入できるようになる。

60歳以上のiDeCoへの加入対象者は、国民年金の第2号被保険者(厚生年金を納めている会社員)または国民年金の任意加入被保険者だ。

それに伴いiDeCoの受給開始年齢の上限も2021年3月時点の70歳から75歳へ引き上げられる。このようにiDeCoの加入可能年齢や受給開始年齢の上限が拡大されることで資産運用の期間も長くなり、iDeCoの加入年齢が高くても効果が期待できるようになる。

例えば、40歳から始めて64歳まで加入していれば25年間加入することができる。つまり、アラフォーまでに加入しておけば十分な運用期間を確保することが期待できるのだ。

iDeCoのデメリット

iDeCoには注意しておきたい点もいくつかある。主に以下の点だ。

  • 原則、60歳まで引き出すことができない
  • 手数料や維持費がかかる
  • 職業により拠出上限額が決まっている
  • 元本割れのリスクがある
  • 手続きが煩雑
  • 勤務先の会社の退職のタイミングがiDeCoの一時金の受給時期と重なると、退職金への課税額が増える

老後のための資産という性質上60歳まで引き出すことができない。また、加入時や移換時、口座管理手数料など、各種手数料や維持費が発生する。加えて、多めに拠出したいという人にとっては、拠出限度額が職業により決まっている点もデメリットとなるだろう。

投資である以上、もちろん元本割れのリスクもある。そもそも、金融機関選びや口座開設手続き、そして運用する商品まですべて自分で選ばなければならず、ある程度、投資の知識が必要となるだろう。

自分に合った資産形成ができるiDeCo

iDeCoは、毎月掛け金を支払うことで将来年金を受け取ることができる私的年金の一つだ。自分で毎月の掛け金の金額や運用方法などを決めることができ、無理せずに自分に合った資産形成を行うことができる。また、節税効果も高い有用な商品だ。

2022年からは、加入可能年齢や受給開始年齢の上限が拡大されることを考えると、アラフォーから加入すれば十分な運用期間を確保することが可能となる。

iDeCoに加入するかどうか迷っている30代後半~40代半ばの“アラフォー”の人は、ぜひこの機会に加入を検討してみてはいかがだろうか。

なお、2021年7月時点では、勤め先で企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入している場合は基本的にiDeCoには加入できない。ただし、規約によって企業型DCとiDeCoの同時加入が認められている場合はiDeCoに加入できる。まずは、iDeCoに加入可能かを人事部や総務部に確認するのが無難だろう。なお、2022年10月1日以降は企業型DCの加入者も規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがなくても、iDeCoに加入できることとなった(諸条件あり)。

税務に関する記述の監修:税理士 鈴木まゆ子

(提供:manabu不動産投資

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