転勤にかかる時間はトータル1カ月以上?
転居を繰り返す転勤族は、新しい土地に馴染むために多くの時間を費やすことになります。
例えば仮に転勤での引越しと新生活の準備に5日費やすとします。5年に一度転勤する人であれば退職までに8回の転勤。するとなんと全部で40日間(5×8)つまり1カ月以上もの間、転勤がなければ発生しなかった作業に時間をかけることになるのです。また、通い慣れたスーパーや銀行、病院等も転居するたびにもう一度探しなおす時間や労力が必要になります。
しかし、この時間や労力は経験値となって役に立ちます。引越準備は普段の片づけの効率を上げ、手続きで役所に通うことで地域の情報が手に入ることも多いです。また、通い慣れた場所に縛られず、幅広いサービスを受けることができます。私自身、転勤した先に運良く素晴らしい腕の先生に出会えた、なんてこともありました。
経験というのは、お金に代えがたい価値のあるものです。
率先してPTA役員に
転居に必ず付きまとうのは、新しい人間関係の構築です。転勤族本人であれば、少なくとも職場の人間関係からスタートできますが、その妻には頼れる人が居ません。
ある転勤族の妻の方で、人間関係をつくる為に転勤する度にPTAの役員を進んで申し出るという人がいました。昨今は近所付き合いが少なくなる傾向がありますが、子どもの病気や災害時に、近所との関わり合いに助けられることも多いです。その点、PTAの役員になるというのは、子どもと一緒に地域に馴染んでいくいい方法ですね。子供は親の心配をよそに親よりも早く友達を作ります。嬉しいことに、子どもが親の友達も作ってくれるのです。
転勤族のキャリアを考える
転勤族はマネープランが安定しないと先述しましたが、その原因の一つとして、妻の収入が見通せないところもあります。夫は安定した企業でも、転居する可能性のある妻は正社員になることが難しくなります。パートやアルバイトでも、転居のたびに新しい職場を探し、人間関係を築くのは大変。そのため、自ずと転勤族の妻がキャリアから離れていってしまう方は少なくありません。一般的な生涯年収は1億~2億円。今後のライフプランに大きく影響します。
私自身は、夫の転勤には感謝をしています。主人の転勤なくして、今のファイナンシャルプランナーという仕事に出会い、この仕事に関わる素敵な人々に出会うことはなかったからです。
正社員になることだけがキャリアではありません。自分という存在さえあれば、キャリアプランは無限に可能性があり、転勤はむしろその可能性を広げてくれるのではないでしょうか。
大切なのは、どこでキャリアを築くかではなくて、どんなキャリアを築いてどんな自分と家族にしていきたいかだと思います。
転勤族はやり方・考え方次第で変わる
このように、転勤族の妻には、住む場所が変わることでデメリットもありますが、多くのメリットも得ることができます。
しかし、がんばる転勤族の妻もうっかりしていると損をしてしまうことがあります。私はファイナンシャルプランナーです。このコラムでは、お金の面からまず転勤族の妻がもっと得する「お金」のお話を、今年3回通してお伝えしていきたいと思います。
松原 季恵(マツバラ キエ)
ファイナンシャル・プランナー。CFP、証券外務員会員一種、DCプランナー2級、融資上級。株式会社優益FPオフィス/アシスタント。オフィスURL:http://www.you-eki.co.jp/