会社員の給与や個人事業主の報酬など、お金のやり取りがあったとき、多くの場合で納めることになる源泉所得税。その税を納める際に使われるのが、所得税徴収高計算書だ。会社の経理や税理士のみならず、個人事業主でも、誰かに報酬を支払った際には提出が必要な書類だ。この記事では、実際どのように記入するのか詳しく見ていこう。
所得税徴収高計算書に関わるQ&A
所得税徴収高計算書とは?
事業者が、従業員や個人事業主に給与や報酬を支払う際に発生する源泉所得税を、税務署に納付する際に使用する計算書のことだ。
事業者が、従業員や個人事業主に給与や報酬を支払う際に発生する源泉所得税を、税務署に納付する際に使用する計算書のことだ。
どんなときに使う?
従業員に給与を支払うときや、業務委託をした個人事業主に報酬を支払うときに徴収した源泉所得税を納める際に使用する。所得の種類によって9種類に分かれる。
従業員に給与を支払うときや、業務委託をした個人事業主に報酬を支払うときに徴収した源泉所得税を納める際に使用する。所得の種類によって9種類に分かれる。
どのタイミングで提出する?
給与や報酬の支払いが発生するたびに、原則として、支払いを行った翌月10日までに提出する。ただし、従業員が10人未満の事業所は特例が認められており、従業員給与の所得税申告は半年に1度でよい。
給与や報酬の支払いが発生するたびに、原則として、支払いを行った翌月10日までに提出する。ただし、従業員が10人未満の事業所は特例が認められており、従業員給与の所得税申告は半年に1度でよい。
どのように入手して提出する?
事業所が管轄される税務署で入手し、記入して提出する。原本を税務署で入手する必要がある。郵送や、e-Taxによる納付もできる。
事業所が管轄される税務署で入手し、記入して提出する。原本を税務署で入手する必要がある。郵送や、e-Taxによる納付もできる。
所得税徴収高計算書
所得税徴収高計算書とは、企業が源泉所得税を納付する際に使用する書類のことだ。アルバイトや個人事業主も含め、ほとんどの労働者が、額面の給与よりも手取り金額が低い、という経験があるだろう。
それは労働者が所得を得る際に、社会保障費や税金が差し引かれているからだ。そのうちの一つが、所得の額に応じてかかる源泉所得税である。この源泉所得税の納付の際に使われるのが、所得税徴収高計算書だ。
9種類の所得税徴収高計算書
所得税徴収高計算書は、事業者へ支払う報酬の種類によって9種類の書類に分かれる。使用する際は、どの書類を入手するべきか確認しよう。
1. 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
従業員に給与を支払ったときに使う計算書だ。従業員以外にも、弁護士や司法書士など、特定の資格を持つ個人に対して報酬を支払った際にも使用する。もっとも使用頻度の高い種類の計算書と言えるだろう。
参照:国税庁
2. 報酬・料金等の所得税徴収高計算書
外部の個人に報酬を支払った際に使う計算書だ。原稿料、デザイン料、出演料などが該当する。「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」とともに、使用頻度が高い計算書だ。
参照:国税庁
3. 非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書
外国に居住している人や、外国に住所がある企業に対して報酬を支払った際に使用する。
参照:国税庁
4. 利子等の所得税徴収高計算書
利子等、配当等のうち、投資信託の収益の分配、もしくは特定受益証券発行信託の収益の分配、または匿名組合契約等に基づく利益の分配について、源泉徴収をした所得税等を納付するときに使用する。
参照:国税庁
5. 配当等の所得税徴収高計算書
株式の配当などについて源泉徴収をした際に使用する計算書だ。「4.利子等の所得税徴収高計算書」に該当しなかった支払いが発生した場合に使用する。
参照:国税庁
6. 定期積金の給付補てん金等の所得税徴収高計算書
給付補てん金、利息、利益もしくは差益、または懸賞金付預貯金などの懸賞金などについて、源泉徴収をした所得税等を納付するときに使用する。
参照:国税庁
7. 上場株式等の源泉徴収選択口座内調整所得金額及び源泉徴収選択口座内配当等・未成年者口座等において契約不履行等事由が生じた場合の所得税徴収高計算書
源泉徴収選択口座にかかわる特定口座内保管上場株式などの譲渡や、源泉徴収選択口座において処理された上場株式などの信用取引等に係る差金決済により生じた源泉徴収選択口座内調整所得金額のほか、源泉徴収選択口座内配当などの額や未成年者口座等において契約不履行等事由が生じた場合の上場株式の譲渡所得などの金額および配当所得の金額について、源泉徴収をした所得税を納付するときに使用する。
参照:国税庁
8. 割引債の償還金に係る差益金額の所得税徴収高計算書
個人や内国法人、または外国法人に支払ったり、交付したりする割引債の償還金、特定割引債の償還金のほか、国外割引債の償還金について、源泉所得税を納付するときに使用する。**
参照:国税庁
9. 償還差益の所得税徴収高計算書
割引債の償還差益について、源泉所得税を納付するときに使用する。
参照:国税庁
このうち、もっとも使用頻度が高い「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」の書き方について解説しよう。
所得税徴収高計算書の書き方
実際に、所得税徴収高計算書を見ていこう。今回は「2017年(平成29年)1月〜6月までの源泉所得税を納付する場合」を例として、記入方法を紹介する。
「支払年月日」には、給与、賞与、報酬、役員賞与を支払った期間を記入する。社員だけでなく、税理士や役員賞与の欄もあるので、該当する箇所は必ず記入しよう。
「人員」には、支払いが発生した人数を記入する。
「支給額」には、給与などで支払った金額の総額を記入する。20万円の給与10人に支払ったなら200万円だ。
「税額」には、給与総額から自分で税額を計算して記入する。
最後に、社員給与、社員賞与、日雇い労働者の賃金、退職手当など、税理士報酬、役員賞与の税額をすべて足し、「本税額」と「合計額」に記入する。延滞税がある場合は「延滞税」の欄も記入しよう。
税務署で申請書を入手して記入する場合は、税額を自分で計算する必要がある。e-Taxによる納付の場合は、数値を打ち込むと自動で計算された税額が算出される。
参考:国税庁
報酬が発生した際には必ず提出する
所得税徴収高計算書は、報酬の支払いが発生した際に必ず提出する。個人・法人を問わず、たとえ所得税が発生しない小さな額だったとしても、提出は義務化されている。
仮に提出を怠り、後に発覚した場合は、「不納付加算税」が課される。税務署から電話やはがきなどで連絡が来る前に自分で納付すれば、納付すべき源泉所得税額の5%、連絡後の納付になると、納付すべき源泉所得税額の10%を、それぞれ追加で支払う必要がある。
本来納付すべき月を過ぎて納付する場合は、「延滞税」も課される。納付期限を過ぎると日ごとに加算され、納付期限の翌日から2ヵ月までは4.3%ずつ、2ヵ月以降は14.6%ずつに跳ね上がる。
ただし、不納付加算税については、過去1年間に不納付の月がなく、かつ延滞期間が1ヵ月以内であれば、不納付加算税は免除される。
源泉所得税は、納付が遅れるごとに、大幅な追加の支払いが発生する。なるべくルーティーンとして源泉所得税納付の作業を組みこみ、万が一納付が遅れてしまっても、速やかに納付するようにしよう。