確定申告のやり方の一つである白色申告は、記帳や申告書類が青色申告と比べれば簡便なのがメリットだ。この記事では白色申告の書き方や必要書類、および青色申告との違いなどについて詳しく解説する。
白色申告の書き方に関わるQ&A
白色申告とは?
青色申告と並ぶ、確定申告のやり方である。サラリーマンやアルバイト・パートの人が住宅ローン控除や医療費控除を受ける際、あるいはフリーランス・個人事業主が所得を申告する際に行う。
青色申告と並ぶ、確定申告のやり方である。サラリーマンやアルバイト・パートの人が住宅ローン控除や医療費控除を受ける際、あるいはフリーランス・個人事業主が所得を申告する際に行う。
白色申告と青色申告はどう違う?
青色申告は白色申告と比較して、記帳や申告書類が複雑になる代わりに、最大55万円(e-Tax利用の場合は最大65万円)の控除が受けられるため、節税効果が高くなる。
青色申告は白色申告と比較して、記帳や申告書類が複雑になる代わりに、最大55万円(e-Tax利用の場合は最大65万円)の控除が受けられるため、節税効果が高くなる。
白色申告で必要な書類は?
白色申告では、確定申告書と収支内訳書、各種控除証明書類が必要だ。給与や退職金、年金などの支払いを受けた場合は源泉徴収票も必要となる。
白色申告では、確定申告書と収支内訳書、各種控除証明書類が必要だ。給与や退職金、年金などの支払いを受けた場合は源泉徴収票も必要となる。
白色申告とは?
白色申告とは、確定申告のやり方の一つである。青色申告と比較して控除などで得られる節税効果が低い代わりに、記帳や申告書類が簡便だ。
2013年まで、白色申告は日々の記帳が必要なく、これが白色申告の最大のメリットだった。しかし、2014年1月から白色申告も、青色申告よりは簡便であるとはいえ記帳が義務付けられたため、白色申告のメリットは少なくなったと言える。
提出期限
確定申告の提出期限は、2月16日から3月15日までと決まっている。ただし、源泉徴収や予定納税した所得税が実際に計算した所得税額より多い場合に、払いすぎた税金を返してもらうための「還付申告」は、2月16日より前でも受け付けてもらえる。
確定申告の期限を過ぎた場合は、本来納めるべき税金のほかに無申告加算税や重加算税、延滞税が課されることがある。確定申告は期限内に忘れずに行おう。
ちなみに2020年分に関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で期限内の確定申告が困難になった人については、申告できるようになったときまでの期限延長が認められている。
提出先と提出方法
確定申告の提出先と提出方法は、以下の3通りがある。
①所轄の税務署へ持参
住所地を所轄する税務署へ持参する。税務署の窓口時間外でも、税務署入口前に設置されている「時間外収受箱」へ投函すれば提出できる。
②所轄の税務署へ郵送
所轄の税務署へ郵送しても、確定申告書は提出できる。
③e-Taxでの申告
白色申告書を国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で作成すれば、e-Taxによりネット上で送信できる。e-Taxでの申告にあたっては、税務署またはWeb上で行う利用者識別番号の取得と、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要となる。
必要書類
白色申告の際に必要となる書類は以下のとおりだ。
① 確定申告書
確定申告書には様式Aと様式Bの2種類ある。確定申告書Aはサラリーマンやパート・アルバイトの人が、住宅ローン控除や医療費控除を受けるために使用する。一方、確定申告書Bはフリーランス・個人事業主や不動産所得がある人が所得を申告するために使用する。
②収支内訳書
収支内訳書は、売り上げなどの収入と、人件費・旅費交通費・通信費などの支出の内訳を記入するものだ。
② 各種控除証明書類
社会保険料や生命保険料などを支払った場合は、支払いの証明書を添付することにより、その金額を所得から差し引く「控除」を受けられる。
控除対象は以下のとおりだ。
・社会保険料控除(国民年金保険料など)
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・医療費控除(支払った医療費が一定額を超える場合)
・小規模企業共済等掛金控除(小規模企業共済や個人型確定拠出年金などの掛金)
・寄附金控除(公益法人や学校法人などへの寄附金、政治献金など)
・雑損控除(災害や横領、盗難などにあった場合)
④源泉徴収票
給与や退職金、年金などの支給があった場合には源泉徴収票も提出する。フリーランスの場合は取引先から「支払調書」が送られてくることもあるだろう。支払調書は源泉徴収票とは異なり、確定申告の際に提出する必要はない。
白色申告と青色申告はどう違う?
確定申告の2つの方法である白色申告と青色申告がどのように違うのか、そのメリットとデメリットを見てみよう。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは以下のとおりだ。
・記帳が簡便
青色申告の記帳は原則として複式簿記で行う。複式簿記で記帳するには、一般に簿記の知識が必要である。一方、白色申告の記帳は、特別な様式は決まっていない。複式簿記で必要となる取引ごとの記載も不要で、日々の合計額のみをまとめて記載するなどでもOKだ。
・申告書類が簡便
青色申告の際は、決算書として損益計算書と貸借対照表の提出が必要だ。一方、白色申告は、より簡便な収支内訳書の提出のみで問題ない。
白色申告のデメリット
白色申告のデメリットは、節税効果が低いことだ。青色申告は所得から最大55万円(e-Tax利用の場合は最大65万円)が控除される。一方、白色申告は、そのような控除は受けられない。
以上のように、簡便とはいえ記帳が必要となった白色申告のメリットはそれほど大きいとは言えない。そのため、思いきって青色申告を行い、節税効果を高めることもおすすめだ。
収支内訳書の書き方とは?
白色申告で提出する収支内訳書の書き方を詳しくみていこう。
1ページ目
・収入金額
売上(収入)金額……1月1日~12月31日までの1年間の売上(収入)
家事消費……仕入れたものを私生活で使用した分の金額
例)飲食店で仕入れた材料のうち自分で食べる分など
その他の収入……本業以外の収入
例)空き箱の売却収入など
・売上原価
期首商品(製品)棚卸高……1月1日時点での商品・製品の総額
仕入金額(製品製造原価)……仕入金額の1年間の合計額
期末商品(製品)棚卸高……12月31日時点での商品・製品の総額
・経費
給料賃金……従業員への給料や賃金
外注工賃……外部業者への修理や加工などの代金
減価償却費……10万円を超える資産について、法定耐用年数で定められた期間で毎年一定額ずつを計上していく
貸倒金……売掛金や貸付金などのうち取引先の倒産などにより回収できなかったもの
地代家賃……事務所や店舗、駐車場などの賃料・管理費。事務所兼自宅などの場合は賃料・管理費の総額から事務所として使用した割合を家事按分する
利子割引料……貸付金の利子や手形の割引料
租税公課……消費税や個人事業税、固定資産税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、自動車税など。所得税や住民税、税金の延滞金などは含められない
荷造運賃……商品出荷のための荷造り・梱包の作業料や運送代など
水道光熱費……水道代や電気代、ガス代
旅費交通費……業務のための出張旅費や交通費
通信費……電話・電報料金や郵便代、宅配料金、FAX代、インターネット接続料など
広告宣伝費……インターネット広告や新聞広告、パンフレット作成費など
接待交際費……取引先に対する接待や慰安、贈答などのための費用
損害保険料……事務所や店舗の火災保険料、自動車保険料、事業で使用する機械の損害保険料など
修繕費……パソコンや自動車などの資産を修理・改良するための費用
消耗品費……文房具やコピー用紙、ガソリンなどの費用
福利厚生費……従業員の交通費や慶弔見舞金、食事代、レクリエーション費用など
雑費……少額で他の勘定科目に当てはまらない経費
・専従者控除
事業主と生計を一つにする配偶者や親族など(いずれも12月31日時点で15歳以上)で、6ヵ月以上事業に従事している場合、配偶者は86万円、配偶者以外は50万円を控除できる。
2ページ目
・売上(収入)金額の明細
売上先名と所在地、売上金額をそれぞれ記入。
・仕入金額の明細
仕入先名と所在地、仕入金額をそれぞれ記入。
・減価償却費の計算
10万円以上の資産について減価償却費の詳細を記入。10万円~20万円までの資産は、3年間で3分の1ずつ償却することができる。
・地代家賃の内訳
支払先の住所氏名と貸借物件名、賃借料、および家事按分した場合には必要経費への算入額を記入する。
・利子割引料の内訳
支払先の住所・氏名と期末現在の借入金の金額、1年間での利子割引料、家事按分した場合は必要経費への算入額を記入する。
白色申告の帳簿の書き方は?
白色申告は、青色申告と比較すれば記帳は簡単なものでOKだ。帳簿の書き方について見ていこう。
記帳する内容
記帳する内容は、大きく分けて「売上(収入)金額」、「仕入金額」、「経費」の3種類である。帳簿の形式などは決められていないため、家計簿と同じ感覚で、自分が記帳しやすい形式を決めるとよいだろう。
記帳に際しては、原則として以下の項目を記入する必要がある。
・売上(収入)金額 ……取引年月日、取引先の名称、金額
・仕入金額 ……取引年月日、取引先の名称、金額
・経費 ……取引年月日、取引先の名称、経費の項目
(白色申告 帳簿の例)
ただし、白色申告では「簡易な方法による記載」が以下のとおり認められる。
・売上・仕入金額 ……現金のものおよび納品書・請求書などで内容が確認できるものは1日の合計金額を記入できる
・経費 ……少額なものについては経費の項目ごとに、1日の合計金額を記入できる
帳簿の種類
帳簿には、以下のとおり「法定帳簿」と「任意帳簿」とがあり、それぞれ保存期間も決まっている。
・法定帳簿 ……収入金額や必要経費を記入するもの(保存期間:7年)
・任意帳簿 ……業務上必要となった法定帳簿以外の帳簿(保存期間:5年)
また、請求書や納品書、領収書なども5年間保存しなければならない。