還付申告とは、事前に納付した税金が実際よりも多過ぎた場合に、その差額分を還付金として受け取れる制度である。ここでは、申告の時期と期限がある還付申告について、いつからいつまでに行えばよいのか、また申告に関する具体的なポイントを解説する。
還付申告に関わるQ&A
そもそも還付申告って何?
還付申告とは、簡単に言うと納め過ぎた税金を戻してもらうための手続きである。1年間の事業活動の中で必要になった経費や、所得控除の対象を申告することで、事前に納めた税金よりも、算出された実際の税金のほうが少なければ、差額が還付金として戻される。
還付申告とは、簡単に言うと納め過ぎた税金を戻してもらうための手続きである。1年間の事業活動の中で必要になった経費や、所得控除の対象を申告することで、事前に納めた税金よりも、算出された実際の税金のほうが少なければ、差額が還付金として戻される。
還付申告はいつからいつまで?
確定申告が義務化されている個人事業主の場合は、確定申告として2月16日から3月15日の間に手続きを行わなければならない。還付申告となる場合は、基本的に5年間の期限内であれば、いつでも申告をすることができる。
確定申告が義務化されている個人事業主の場合は、確定申告として2月16日から3月15日の間に手続きを行わなければならない。還付申告となる場合は、基本的に5年間の期限内であれば、いつでも申告をすることができる。
還付申告を簡単にする方法は?
還付申告は一定の書式に準じて行う必要があり、事業規模が大きくなるほど書類の準備や手続きが煩雑になる。そのため最近では個人事業主でも、会計ソフトを導入するケースが増えている。ほとんどの会計ソフトは、確定申告全体をサポートしてくれる。
還付申告は一定の書式に準じて行う必要があり、事業規模が大きくなるほど書類の準備や手続きが煩雑になる。そのため最近では個人事業主でも、会計ソフトを導入するケースが増えている。ほとんどの会計ソフトは、確定申告全体をサポートしてくれる。
還付申告の仕組み
日本の税制では、前年の収入などをもとにして、翌年分の所得税額が概算で決められる。しかし実際には所得控除や経費、申告の方法などにより、確定した税額が予定よりも少なくなることがある。このときに行われるのが還付申告で、納め過ぎた税金は還付金として返金される。
サラリーマンの税金還付と年末調整
サラリーマンは、一般的に還付申告を行わない。その代わりに勤務する企業(事業所)が手続きを代行し、予定された税額と実際の税額との差額を算出、必要であれば返金を行う。この仕組みが年末調整である。
給与所得者であるサラリーマンは、毎月の給料から源泉徴収という形で予定納税分が天引きされる。しかし正確な税額は、その年の1月1日から12月31日の所得から算出されるため、通常は予定額との誤差が生じる。このときに実際の税額のほうが少なければ、差額は年末調整として戻ってくる。
ただしサラリーマンでも、年間の給与総額が2,000万円を超える場合や、本業以外に年間20万円以上の所得がある場合には、個人で確定申告を行う義務がある。
個人事業主(自営業)の還付申告
一方、個人事業主は毎年確定申告が義務づけられているため、別の手続きは必要ない。税金の払い過ぎがあったときには、還付金として返金される。場合によっては取引先で事前に源泉徴収を行うケースもあるが、その分も確定申告時に清算される。
もう1つ、個人事業主の場合には、税金の分割前払いとも言える「予定納税」の制度があり、予定納税額を2回に分けて前納することができる。このケースでも実際の税額が予定税額を下回ったときには、確定申告で調整して差額分が還付される。
自営業の1つとも言えるフリーランスに関しては、基本的に確定申告が必要ないため、還付金が見込める場合には還付申告を行わなければならない。取引先からの支払いで源泉徴収されていれば、還付申告することによって実際の税額との差額が還付される。
還付申告に必要な書類
個人事業主の還付申告は確定申告に含まれるので、確定申告書を提出することにより行う。それ以外のフリーランスなども、還付申告には確定申告の書類を用いる。ほかにも支払調書と、所得控除の種類に合わせた証明用書類などが必要になる。
例えば住宅ローン控除では登記事項証明書や契約書、医療費控除では医療費の明細書などを準備しなければならない。詳細な申告書と書類については、国税庁のホームページで確認してほしい。
還付申告の具体的な流れ
個人事業主やフリーランスは、まず1年分の支払調書と所得控除を証明する書類を管理しなければならない。
還付申告そのものは、直接税務署に提出する方法と郵送する方法、そして条件はあるが今ではe-Taxを使って、インターネットを通じて申告することも可能だ。e-Taxの場合は2~3週間で、それ以外の場合は1~1ヵ月半ほどで指定の口座に還付金が振り込まれる。
還付申告のポイント
ここでは上手に還付申告を行うポイントを紹介しよう。正しい知識を身につけていれば、節税にもつながるのでぜひ参考にしてほしい。
還付申告するメリット
個人事業主の還付申告では、確定申告の方法によってメリットが大きく異なる。最も節税効果が大きいのは、青色申告だ。この場合基礎控除の48万円と、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる。
フリーランスの場合は、自身で確定申告を行わない限り、源泉徴収された税金は戻ってこない。複数の取引先があれば、それをまとめて申告することで、余分な税金負担を軽減できる。
還付申告の条件
源泉徴収されている場合、最終的に算出された税額が少なければ還付金が戻ってくる。実際に算出される税額は、さまざまな所得控除により大きく変化する。還付が受けられるケースについて、主な条件をまとめておこう。
・社会保険料控除(健康保険や年金など)
・医療費控除(多額の医療費を支払った場合)
・配偶者控除(一定の要件を満たす配偶者がいる場合)
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・住宅借入金特別控除(一定の要件のマイホーム取得により住宅ローンがある場合)
・認定住宅新築等特別税額控除(認定住宅の新築などをした場合)
・寄附金控除(特定の寄付をした場合)
・雑損控除(災害や盗難などで損害を被った場合)
・障害者控除
・年の途中で退職し、源泉徴収税の年末調整を受けていない場合
これらが認められたときには、還付申告により払い過ぎた税金が戻る可能性がある。所得控除の条件は細かく決められているので、詳細は国税庁などのホームページで確認しよう。
還付申告の対象にならない所得
所得の中には確定申告でも対象にならないものがある。それが源泉分離課税で、ほかの所得と分離して支払者が直接納税する仕組みのため、その時点で納税が完結する。源泉分離課税として扱われる預貯金利子などは、還付申告の対象にならないので注意が必要だ。
還付申告の受付っていつから?
ここで改めて、還付申告はいつから受付が始まり、期限はいつまでなのかを確認しておこう。前提として、還付申告のみを行う場合と、確定申告の一部として還付申告を行う場合とに分けて考えてみる。
還付申告のタイミングと期限
申告するべき年の還付申告は、翌年の1月1日から5年以内であれば、特に期間や期限を気にすることなくいつでも可能である。例えば2020年分の還付申告は、2021年1月1日から2025年12月31日までが対象の期間となる。
還付申告で注意すべき点は?
還付金が発生した場合、還付終了までに一定以上の期間がかかったときには、「還付加算金」が生じるケースがある。いわば還付金に対する延滞利息のようなもので、少額ではあるが還付金に加えて口座に振り込まれる。
還付金の額が大きければ、還付加算金もある程度の金額になるかもしれない。この還付加算金の有無を調べるには、確定申告書(還付申告も同様)で申請した還付金額と、実際に口座に振り込まれた金額とを比較すればよい。
もしも還付加算金があった場合には、利息として収入扱いになるため、翌年の申告書には正しく記載しなければならない。還付金の振り込みが遅れたときには、口座の金額をチェックするか、管轄の税務署に問い合わせたほうがよいだろう。
確定申告(還付申告)に便利な会計ソフト
最後に、還付申告及び確定申告をサポートする会計ソフトについて、有料タイプと無料タイプを1つずつ紹介しておこう。業務の効率化や事業拡大にも役に立つので、ぜひ参考にしてほしい。
確定申告に役立つ有料会計ソフト
個人事業主の会計サポートに最適な、ソリマチの「みんなの青色申告」は、確定申告に十分な機能を備えながら、9,800円(税別)というコストパフォーマンスを誇る会計ソフトだ。
経理の知識がなくても、ほぼ自動で仕訳処理ができ、確定申告(還付申告)の帳票作成もこなす上、電子帳簿保存にも対応しているので、e-Taxでの確定申告も可能である。自営業など、本格的な会計処理までは必要としない業種にぴったりのソフトと言えるだろう。
確定申告に役立つ無料会計ソフト
還付申告だけなら、コストをかけずに終わらせたい。そんなときに重宝する完全フリーの会計ソフトが「ツカエル青色申告」だ。有料版もあるが無料でダウンロードできるタイプもある。
本格的な経理の知識がなくても利用でき、日々の仕訳処理をサポートしてくれる。フリーソフトなので機能は限定されるが、確定申告の帳票作成にも対応しているので、経済的負担なしで確定申告(還付申告)を済ませるには最適である。