新型コロナウイルス感染症の拡大で持続化給付金の申請を検討している人も多いだろう。持続化給付金の申請は、特に白色申告をしている個人事業主の場合には、給付対象の要件に注意が必要だ。申請の方法と注意ポイントを詳しく解説する。

白色申告持続化給付金に関わるQ&A

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(画像=PIXTA)
Q


持続化給付金とは?

持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売り上げ(事業収入)が大幅に減るなどした中小企業、フリーランスおよび個人事業主に対して、事業継続のために広く使えるお金として最大100万円を給付するものである。

持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売り上げ(事業収入)が大幅に減るなどした中小企業、フリーランスおよび個人事業主に対して、事業継続のために広く使えるお金として最大100万円を給付するものである。


Q


白色申告の個人事業主が申請する際の必要書類は?

白色申告の個人事業主が持続化給付金を申請する際の必要書類は、確定申告書第一表の控え、前年より売り上げが50%以上減少した2020年対象月の売り上げを証明する資料、給付金を振り込む銀行口座の通帳のコピー、運転免許証などの本人確認書類の4点だ。

白色申告の個人事業主が持続化給付金を申請する際の必要書類は、確定申告書第一表の控え、前年より売り上げが50%以上減少した2020年対象月の売り上げを証明する資料、給付金を振り込む銀行口座の通帳のコピー、運転免許証などの本人確認書類の4点だ。


Q


「売り上げ50%減」の白色申告の人の計算方法は?

各月の売り上げを申告する青色申告とは異なり、年間の売り上げのみを申告する白色申告の人は、単純に「前年同月との売り上げ」を比較できない。したがって、前年の年間総売上を12ヵ月で割った「各月の売り上げ」と、今年の売り上げを比較することが必要だ。

各月の売り上げを申告する青色申告とは異なり、年間の売り上げのみを申告する白色申告の人は、単純に「前年同月との売り上げ」を比較できない。したがって、前年の年間総売上を12ヵ月で割った「各月の売り上げ」と、今年の売り上げを比較することが必要だ。

Q


持続化給付金の申請方法は?

持続化給付金の申請方法は、基本的に電子申請のみとなる。電子申請では、持続化給付金 申請ホームページにマイページを作成し、必要な情報や書類を入力・アップロードする。書類はすべてデジタルカメラやスマートフォンなどで撮影し、電子化する必要がある。

持続化給付金の申請方法は、基本的に電子申請のみとなる。電子申請では、持続化給付金 申請ホームページにマイページを作成し、必要な情報や書類を入力・アップロードする。書類はすべてデジタルカメラやスマートフォンなどで撮影し、電子化する必要がある。

持続化給付金とは?

最初に、持続化給付金とは何かについて見ていこう。持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染拡大が事業に大きく影響し、営業自粛などをして売り上げ(事業収入)が大幅に減った事業者に対して給付される、事業を継続させるため事業全般に広く使えるお金だ。

給付対象は中小企業とフリーランス・個人事業主の2種類ある。この記事では「白色申告をしているフリーランス・個人事業主」に焦点を絞って解説していく。

給付対象者

給付対象となるフリーランス・個人事業主の要件は以下の2点だ。

(1)2019年以前から事業を行って収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。(2020年1月~3月に開業した場合にも、一定の要件を満たせば給付を受けられる)

(2)2020年1月以降で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前年同月と比較して売り上げが50%以上減少した月(=「対象月」と呼ばれる)があること。

ただし、以下のいずれかに該当する場合は給付対象外となり、持続化給付金は給付されない。

(1)性風俗関連特殊営業、および接客業務受託営業を行う事業者
(2)宗教組織・団体
(3)そのほか中小企業庁長官が「給付は適当ではない」と判断する者

給付額

給付額は、フリーランス・個人事業主の場合は最大で100万円までである。ただし、昨年と比較して、今年1年で実際に減少すると見込まれる売り上げの金額が上限だ。今年1年で実際に減少すると見込まれる売り上げの金額は、下の計算式から求める。

給付額上限 = 昨年1年間の売り上げ - 対象月の売り上げ × 12ヵ月

白色申告の個人事業主が申請する際の必要書類は?

白色申告の個人事業主が持続化給付金を申請する際の必要書類は以下のとおりだ。

確定申告書第一表の控え

申請にあたってまず必要なのは、2019年分の確定申告書第一表の控えだ。これは税務署に提出したことを意味する収受印が押されているものが必要だ。

(確定申告書第一表)

確定申告書第一表

出典:中小企業庁『持続化給付金申請要領(個人事業者等向け)

・e-Taxで確定申告書を提出している場合

税務署に持参せずe-Taxで確定申告書を提出している場合は、収受印入りの確定申告書は手元にない。したがって、確定申告書第一表とともにe-Taxの受信通知を提出する。

(e-Tax受信通知)

e-Tax受信通知

出典:中小企業庁『持続化給付金申請要領(個人事業者等向け)

・収受印入り確定申告書もe-Tax受信通知もない場合

収受印入り確定申告書もe-Tax受信通知もない場合は、納税証明書(その2 所得金額用)を確定申告書第一表とともに提出する。

(納税証明書)

納税証明書

出典:中小企業庁『持続化給付金申請要領(個人事業者等向け)

2020年対象月の売り上げ台帳など

次に、申請にあたって必要なのは、2020年対象月の売上金額が確認できる資料である。これは、以下のいずれかでかまわない。ただし「2020年○月」と、いつの売り上げなのかがはっきり確認できることが必要だ。

・会計ソフトからダウンロードしたデータ
・エクセルなど表計算ソフトのデータ
・手書きの売上帳
・売り上げ伝票

など

通帳のコピー

持続化給付金を振り込む口座を確認するため、以下の情報が記載された通帳のページをコピーする。

・銀行名
・支店番号
・支店名
・口座種別
・口座名義人

一般に紙の通帳なら、通帳のおもて面と、通帳を1回開いた1・2ページ目をコピーすれば、以上の情報はすべて網羅される。電子通帳の場合は、口座情報が記載されたページをプリントアウトする。上の情報の1つでも欠けてしまうと、持続化給付金は振り込みができなくなるから注意しよう。

本人確認書類

最後にもう一つ必要となるのが、本人確認書類である。本人確認書類は原則として、「住所」「氏名」「顔写真」が確認できるものが必要だ。

したがって、以下のものなら1つだけで本人確認書類の要件が満たされる。

・運転免許証(両面)
・運転経歴証明書(運転免許証を返納している場合)
・個人番号カード(おもて面のみ)
・写真付きの住民基本台帳カード(おもて面のみ)
・在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書(特別永住資格のもの)(いずれも両面)

これらがない場合は、以下のものも本人確認書類にできる。

・住民票のコピーとパスポートの両方
・住民票のコピーと健康保険証の両方

「収入50%減」の白色申告の人の計算方法は?

白色申告をしている個人事業主の場合、気をつけなければいけないのは「前年同月と比較して売り上げが50%以上減少」の計算方法だ。青色申告なら、月ごとの売り上げを申告しているから、前年の確定申告書と今年の売上台帳を比較すれば、月ごとの売り上げが比較できる。

しかし、白色申告で提出する収支内訳書は年間の収支だけを記載するため、前年の月ごとの売り上げを資料から確認する方法がない。

(白色申告の収支内訳書)

白色申告の収支内訳書

出典:『収支内訳書(一般用)

そこで、白色申告をしている場合は、「前年同月と比較して売り上げが50%以上減少した月」を以下のように計算する。

2019年および2020年の4月までの売り上げが下のようなものだったとしよう。

売り上げ

2020年の月ごとの売り上げは売上台帳などからそれぞれ確認できるが、2019年は年間の総売り上げしか確定申告書からは確認できない。そこで、年間の総売り上げを12ヵ月で割り、各月の売り上げとするのである。

上の例なら、2019年の年間売り上げは300万円となっているので、各月の売り上げは以下のように計算できる。

300万円 ÷ 12ヵ月=25万円

この25万円と比較すると、2020年4月の「10万円」が50%以上減少していることになる。そこで2020年4月を対象月とし、持続化給付金の給付額を計算すれば、前述の式である、

給付額上限 = 昨年1年間の売り上げ - 対象月の売り上げ × 12ヵ月

により、

給付額上限 = 300万円 - 10万円 × 12ヵ月

となり、結果は「180万円」となる。

ただし、180万円は給付の最大額である100万円を超えている。したがって、給付額は「100万円」になる。

持続化給付金の申請方法は?

ここでは、持続化給付金の申請方法を見ていこう。

申請期間

持続化給付金の申請期間は、

「2021年2月15日まで」

である。電子申請の場合、締め切りは2021年2月15日となる。遅れないよう気をつけよう。 (※当初の2021年1月15日締め切りから延長)

申請内容に特に問題などがなければ、給付金は通常2週間程度で申請された銀行口座に振り込まれる。

電子申請の方法

持続化給付金の申請は「電子申請」が基本とされている。持続化給付金申請の流れは以下のとおりだ。

・STEP1 申請の要件に当てはまるかを確認し、必要な書類を準備する

最初に自分が申請の要件に当てはまるかを確認しよう。前述のとおり、白色申告の個人事業主は「前年同月と比較して売り上げが50%減」を判定する際に注意が必要となる。

必要書類はすべてPDF、JPGまたはPNGのいずれかのファイル形式で、書類1枚につき1ファイルとして電子化する。確定申告書をe-Taxで提出している場合は、すでに電子化している書類も多いだろう。

書類をこれから電子化する場合は、デジタルカメラやスマートフォンなどで必要書類を撮影してもかまわない。ただし、書類は細かな文字もすべてきちんと読み取れることが必要だ。ボケたりブレたりしないよう、慎重に撮影しよう。

・STEP2 持続化給付金 申請用ホームページにマイページを作成する

必要書類を準備したら、持続化給付金申請用ホームページにアクセスする。

持続化給付金 申請用ホームページ

まずは、ページの中段あたりにある「申請する」ボタンをクリックする。メールアドレスを入力すると仮登録ができ、メールが届く。届いたメールに記載されているIDとパスワードをホームページで入力すると、マイページが作成される。

・STEP3 マイページから申請情報を入力し、必要書類をアップロードする

マイページが作成されたら、基本情報と口座情報を入力し、必要書類を画面上からアップロードする。

基本情報は屋号や業種、申請者住所・氏名・生年月日・メールアドレス、2019年の事業収入、対象月、対象月の月間事業収入などだ。口座情報は、金融機関名や支店名、種別、口座番号、口座名義などで、口座名義は、申請者の氏名と一致している必要があるから注意しよう。

必要書類をアップロードしたら、最後に宣誓・同意事項に同意する。

宣誓・同意事項は、

・給付対象者の要件を満たしていること
・入力内容や必要書類が虚偽ではないこと
・不正給付が判明したら給付金の返還をすること

など7項目だ。

・STEP4 申請後の確認など

持続化給付金の申請の流れは、以上のとおりだが、申請内容などに不明な点や不備があった場合は、事務局から入力したメールアドレスへ連絡が入る。連絡が入ったら、マイページにアクセスして内容を確認し、適切な対応をしよう。

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