「青色申告はどうやって書けばいいの?」と思う人も多いだろう。青色申告は白色申告と比較して節税効果が高い代わりに、申告方法が複雑になる。この記事では青色申告の書き方と必要書類、および白色申告との違いについて詳しく解説する。

青色申告の書き方に関わるQ&A

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(画像=PIXTA)
Q


青色申告とは?

白色申告と並ぶ確定申告のやり方で、フリーランスや個人事業主が事業所得を申告するために使用する。白色申告と比較して節税効果が高いメリットがある反面、記帳や申告が複雑になるデメリットがある。

白色申告と並ぶ確定申告のやり方で、フリーランスや個人事業主が事業所得を申告するために使用する。白色申告と比較して節税効果が高いメリットがある反面、記帳や申告が複雑になるデメリットがある。


Q


青色申告のメリット・デメリットは?

青色申告の節税効果のメリットは、最大55万円(e-Tax利用の場合は最大65万円)の控除が受けられること、配偶者や親族に支払った経費を全額必要経費にできること、損失の繰越しや繰戻しができることなどがある。デメリットは、記帳・申告に簿記の知識が必要となることだ。

青色申告の節税効果のメリットは、最大55万円(e-Tax利用の場合は最大65万円)の控除が受けられること、配偶者や親族に支払った経費を全額必要経費にできること、損失の繰越しや繰戻しができることなどがある。デメリットは、記帳・申告に簿記の知識が必要となることだ。


Q


青色申告に必要な準備は?

青色申告をするためには、青色申告承認申請書と開業届を、申告する年の3月15日までに税務署に提出する必要がある。

青色申告をするためには、青色申告承認申請書と開業届を、申告する年の3月15日までに税務署に提出する必要がある。

青色申告とは?

青色申告とは、確定申告のやり方の一つである。フリーランスや個人事業主などで事業所得、あるいは不動産所得、山林所得がある人が、事前に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出することにより利用できるようになる。

青色申告は白色申告と比較して、節税効果が高いことがメリットだ。メリットは以下のとおりだ。

・申告により最大55万円(e-Taxでの提出なら最大65万円)の控除が受けられる
・配偶者や親族に支払った給与(青色事業専従者給与)を必要経費に計上して所得から差   し引くことができる
・純損失の繰越しや繰戻しができる
・貸倒引当金を計上できる

一方、以下のように記帳と申告に手間がかかるのがデメリットだと言える。

・記帳を原則として複式簿記で行う必要がある
・総勘定帳や仕訳帳など複数の帳簿を備える必要がある
・確定申告時には決算書として、損益計算書と貸借対照表の作成が必要

ただし、以前は記帳の義務がなかった白色申告も、2014年1月からは簡易な方法とはいえ記帳が義務付けられている。白色申告のメリットは小さくなっているため、思いきって複式簿記に挑戦、あるいは会計ソフトを導入して青色申告を行い、高い節税効果を享受するのがおすすめだ。

確定申告の受付開始は通常は2月16日だ。ただし、源泉徴収された所得税の還付を申告する還付申告については、それ以前でも受け付けてもらえる。また、確定申告の申告期限は、通常は「3月15日」だ。申告期限に遅れると無申告加算税や延滞税が罰則として課されることがあるから気をつけよう。

ただし、2020年に関しては新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛などの影響で、申告が3月15日以降となった場合でも、柔軟に取り扱ってもらえる。

青色申告のメリット・デメリットは?

青色申告のメリットとデメリットを見てみよう。

メリット

青色申告のメリットは以下のとおりだ。

・申告により最大55万円(e-Taxでの提出なら最大65万円)の控除が受けられる

青色申告の最大のメリットは、申告により最大55万円(e-Taxでの提出なら最大65万円)の控除を受けられることである。白色申告にはこのような控除がなく、節税効果には大きな違いがある。

・配偶者や親族に支払った給与(青色事業専従者給与)を必要経費に計上して所得から差し引くことができる

個人事業主なら配偶者や親族に給与を払うことも多いだろう。青色申告を利用すれば、一定の条件を満たした配偶者や親族に支払った給与(青色事業専従者給与)を、全額必要経費に計上できる。白色申告でも配偶者や親族に対する給与を控除できるが、配偶者は86万円、親族は50万円の上限があり、青色申告のほうが節税効果ははるかに高い。

・純損失の繰越しや繰戻しができる

事業で損失(赤字)が出た場合、青色申告であればその損失を翌年以降3年間にわたって繰越し、利益(黒字分)と相殺することができる。それに加えて利益が出た前年に繰戻し、すでに支払った所得税の還付も受けられる。白色申告では利用できない「繰越し・繰戻し」により、損失が出た際の節税が可能となる。

・貸倒引当金を計上できる

青色申告では、事業において生じた売掛金や貸付金のうち5.5%までを、貸倒引当金として必要経費に計上できる。貸倒引当金は、実際には貸し倒れにならない可能性もあるため、経費計上すれば節税できることになる。

デメリット

以上のように高い節税効果がある青色申告だが、デメリットはどのようなものがあるのだろうか。

・記帳を原則として複式簿記で行う必要がある

青色申告では原則として記帳を複式簿記で行わなければならない。複式簿記での記帳には簿記の知識が必要となるため、「敷居が高い」と感じる人も多いだろう。

・総勘定帳や仕訳帳など複数の帳簿を備える必要がある

青色申告では複式簿記での記載が必要なことにともない、総勘定帳や仕訳帳など複数の帳簿を備えなければならない。収入や経費を記載した法定帳簿だけ備えればよい白色申告と比較して、帳簿管理も複雑になる。

・確定申告時には損益計算書と貸借対照表の作成が必要

青色申告は確定申告時にも、決算書として損益計算書と貸借対照表の作成が必要となる。収支内訳書だけを作成すればよい白色申告と比較すると、複雑な作業が要求される。

以上のように青色申告には、白色申告と比較して記帳と申告の作業が複雑になるデメリットがある。ただし、近年では会計ソフトの利用により、簿記の知識がない人でも記帳と申告を手軽に行うことが可能となっている。会計ソフトを導入すれば、青色申告のデメリットは「ほぼ解消される」といってもよいだろう。

青色申告に必要な準備は?

青色申告をするためには、事前に青色申告承認申請書および開業届の提出が必要だ。

青色申告承認申請書の提出

青色申告をするにあたっては、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出する必要がある。提出期限は、以下のとおりである。

・白色申告から青色申告へ切り替える場合……申告しようとする年の3月15日まで
・新規に事業を始める場合……事業開始から2ヵ月以内

ここで「申告しようとする年」とは「確定申告を行う年」とは異なるので注意が必要だ。2020年について青色申告する場合、青色申告承認申請書は「2020年3月15日」までに提出しなければならない。2020年分についての確定申告の期限は「2021年3月15日」となる。

開業届の提出

青色申告には開業届の提出も必要だ。白色申告では開業届の提出は必須ではないため、開業届を提出せずに白色申告していた人が青色申告に切り替えようと思う場合は、上の青色申告承認申請書と一緒に開業届を提出する必要がある。

決算書の書き方は?

次に、青色申告の決算書の書き方を見ていこう。決算書は以下の4つから構成される。

・損益計算書
・損益計算書の内訳(1)
・損益計算書の内訳(2)
・貸借対照表

損益計算書

所得税青色申告決算書(一般用)

出典:国税庁『所得税青色申告決算書(一般用)』

・事業者情報……住所や氏名、事業所所在地などを記入
・売上(収入)金額……1月1日~12月31日の1年間の売上(収入)を記入
・売上原価……期首商品(製品)棚卸高、仕入金額、期末商品(製品)棚卸高から計算し、売上原価を記入
・経費……租税公課、荷造運賃をはじめとする経費を記入
・差引金額(⑦―㉜)……これが売上から原価と経費が差し引かれた「利益」となる
・各種引当金・準備金等……貸倒引当金や専従者給与がある場合は記入
・青色申告特別控除額……最大55万円(e-Taxを利用すれば最大65万円)
・所得金額(㊸―㊹)……これが事業所得となる

損益計算書の内訳(1)

所得税青色申告決算書(一般用)

出典:国税庁『所得税青色申告決算書(一般用)』

・月別売上(収入)金額および仕入金額……月別の売上額および仕入額をそれぞれ記入
・貸倒引当金繰入額の計算……貸倒引当金を計上した場合に記入
・給料賃金の内訳……従業員に給料を支払った場合に記入
・専従者給与の内訳……配偶者や親族に給与を支払った場合に記入
・青色申告特別控除額の計算……最大で65万円となる

損益計算書の内訳(2)

所得税青色申告決算書(一般用)

出典:国税庁『所得税青色申告決算書(一般用)』

・減価償却費の計算……10万円以上の固定資産を購入した場合は減価償却の詳細を記入
・利子割引料の内訳……金融機関以外の個人・法人について利子・割引料がある場合に記入
・税理士・弁護士の報酬・料金の内訳……税理士・弁護士に依頼した場合に記入
・地代家賃の内訳……事務所の家賃や駐車場料金などについて記入
・本年中における特殊事情……前年比で収入が極端に増減した場合などに、税務署に伝えたいことがあれば記入

貸借対照表

所得税青色申告決算書(一般用)

出典:国税庁『所得税青色申告決算書(一般用)』

・貸借対照表……資産の部と負債・資本の部それぞれで詳細を記入。合計金額は資産と負債・資本で同額にならなければならない
・製造原価の計算……製造業の場合は記入

確定申告書Bの書き方は?

次に、確定申告書の書き方を見ていこう。確定申告書にはAとBとの2種類がある。確定申告書Aはサラリーマンやパート・アルバイトの人が住宅ローン控除や医療費控除を申告するために使用する。ここでは、フリーランスや個人事業主が事業所得を申告するために使用する、確定申告書Bの書き方を解説する。

第一表

申告書B

出典:国税庁『申告書B』

・事業者情報……住所や氏名などの事業者情報を記入
・収入金額等……事業収入や不動産収入など該当するものについて記入
・所得金額等……事業所得や不動産所得など該当するものについて記入
・所得から差し引かれる金額……社会保険料控除(国民年金・健康保険など)や生命保険料控除など、該当するものについて記入
・税金の金額……所得税の金額を計算する
・その他……青色申告特別控除や青色専従者給与などを記入
・還付される税金の収受場所……還付申告の場合には還付金の振込先を記入

第二表

申告書B

出典:国税庁『申告書B』

・所得の内訳(所得税および復興特別所得税の源泉徴収額)……源泉徴収された場合は内訳を記入
・雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得に関する事項 ……雑所得や配当所得などがある場合に記入
・所得から差し引かれる金額に関する事項……社会保険料控除などの詳細について記入
・青色専従者に関する事項……青色専従者についての詳細を記入