確定申告で所得控除を申告した結果、所得税を支払いすぎていることがわかれば、払いすぎた分が戻ってくる。これが、還付金である。ただし、還付金の仕組みについて、十分に理解している人は少ない。ここでは、還付金に関する具体的な手続きや手順と計算方法について詳しく説明する。

井上 通夫
井上 通夫
行政書士。大学卒業後、大手信販会社、大手学習塾などに勤務後、福岡市で行政書士事務所を開業。現在、相続・遺言、民事法務(内容証明、契約書、離婚協議書等の作成)、公益法人業務、各種許認可業務など幅広く担当。

確定申告・還付金にまつわるQ&A

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(画像=PIXTA)
Q


確定申告とは何か?

確定申告とは、1年間の売上額と経費を計算したうえで、課税される所得金額を税務署に申告する制度である。個人事業主と一部の会社員は、確定申告が必要だ。

確定申告とは、1年間の売上額と経費を計算したうえで、課税される所得金額を税務署に申告する制度である。個人事業主と一部の会社員は、確定申告が必要だ。


Q


還付金とは何か?

還付金とは、所得税を納めすぎた場合、納税者に返還する過払い分のことである。会社員の場合、年末調整によって、給料で税金の過払い分を精算することになるが、個人事業主や一部の会社員は、確定申告を行うことで、還付金の金額が確定し、納税者の口座に直接振り込まれる。

還付金とは、所得税を納めすぎた場合、納税者に返還する過払い分のことである。会社員の場合、年末調整によって、給料で税金の過払い分を精算することになるが、個人事業主や一部の会社員は、確定申告を行うことで、還付金の金額が確定し、納税者の口座に直接振り込まれる。


Q


還付金はいつもらえるのか?

還付金の振り込みは、確定申告を行ってから、1~2ヵ月程度で、納税者の銀行口座に振り込まれる。口座の情報は、確定申告書に記入する欄がある。

還付金の振り込みは、確定申告を行ってから、1~2ヵ月程度で、納税者の銀行口座に振り込まれる。口座の情報は、確定申告書に記入する欄がある。

確定申告とは?

●確定申告の概要

職種、雇用形態を問わず、1年間で得た所得金額に所得税などの税金がかかる。会社員の場合、会社の担当者が給与収入から課税額を計算し、給料から税金を差し引いた金額が毎月給与として振り込まれている。これを源泉徴収と言う。そして1年に1度、払いすぎた所得税を精算し、誤差を解消する方法が、年末調整だ。

一方、個人事業主の場合は、1年間の売り上げから必要経費を差し引き、さらに各種控除を差し引いた金額を算定する。この金額に所得税がかかる。このように、自ら売上額や必要経費、所得税がかかる金額を税務署に申告することを確定申告と言う。

●確定申告が必要な人は?

確定申告が必要な人は、基本的に会社員以外の個人事業主だ。会社員は、先ほど説明したように、会社の担当者が、給与収入を基に税金の計算を行う源泉徴収や、個々が納めた税金を精算する年末調整を行うので、自分で確定申告をする必要はない。

ただし会社員でも、1年間の給与が2000万円を超える人は、確定申告をしなければならない。給与や退職金以外にも収入があり、その金額が20万円を超えている人も、確定申告をする必要がある。

このほか、年の途中で退職した人や1年間で10万円を超える医療費を支払った人、ふるさと納税などの寄附をした人、住宅ローンを組んだ人などは、確定申告をすれば、還付金を受け取れる可能性がある。

●確定申告の期限・時期は?

確定申告の期間は、基本的に毎年2月16日から3月15日までだ。この期間に、前年1年間の売上金額から必要経費を差し引き、さらに各種控除額を差し引いたうえで、課税される所得額を申告する。

ただし、3月15日が土曜・日曜・祝日の場合は、翌日まで延長される。2020年分の申告であれば、2021年2月16日(火)から3月15日(月)までが確定申告の期間となる。

なお、払いすぎた税金の還付を受けるための還付申告については、1月1日から申告ができ、3月15日までという期限もない。申告ができる日から5年以内なら、いつでも還付申告が可能だ。

還付金とは?

●還付金の概要

還付金とは、源泉徴収税額が、支払うべき所得税などよりも多い場合に、納税者へ還付されるお金のことだ。源泉徴収税額とは、給与、報酬などの所得から天引きされる税金のことであり、所得税などには、復興特別所得税も含まれる。

例えば、医療費がかかりすぎる納税者には医療費控除、災害にあった納税者には雑損控除など、それ ぞれの控除があれば、税金が減額され、還付金が発生する。個々の納税者の納税額が変わることによ って、還付金額も変わってくるのだ。

●源泉徴収の対象となる所得

源泉徴収とは、収入からあらかじめ所得税を差し引くことだ。会社員の場合、会社で源泉徴収が行われているため、自分で確定申告を行うことはない。

一般的に源泉徴収は会社員のみが対象になると考えられがちだが、個人事業主の場合でも、事業内容によって、源泉徴収の対象になることがある。源泉徴収の対象になる事業の源泉徴収税額は、報酬額(消費税抜き)の10.21%である。報酬以外にも、特定口座を使って株式の取引を行った場合は、利益に対して源泉徴収される。また、保有する株式からの配当も源泉徴収される。

源泉徴収の対象となる報酬は、次のとおりである。

・原稿料や講演料など
・弁護士、公認会計士、司法書士などに支払う報酬
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデル、外交員などに支払う報酬
・映画、演劇、テレビ放送などの出演料
・芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
・ホテル、旅館などで行われる宴会で、客に対して接待等を行うことを業務とするホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬
・プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することによって一時に支払う契約金
・広告宣伝のための賞金、馬主に支払う競馬の賞金

●還付の方法と時期

還付の方法には、年末調整と確定申告の2通りがある。

年末調整の場合、給与所得が2000万円以下で、1社のみから給与をもらっている会社員は、基本的に自分で確定申告を行う必要はない。このような会社員は、会社が手続きを行う年末調整で還付金を受け取ることになる。1月分あるいは2月分の給料とともに還付金が戻ってくる。このほかの会社員あるいは個人事業主は、確定申告を行うことで、還付金を受け取ることになる。

確定申告書に各控除額を記入する際には、給与所得の源泉徴収票(会社員の場合)、所得控除に必要な資料、税額控除に必要な資料などを準備する。そして金額を確定申告書に記入し、提出する。

これによって、所得税額と給与などから差し引かれた源泉徴収税の差額が納税者に還付される。確定申告書に還付先の銀行の口座を記入する欄があり、この口座に税務署から還付金が振り込まれる。なお、還付金が振り込まれるのは、確定申告を行って1?2ヵ月後である。

また、還付金を受け取る確定申告は、過去5年間を遡って行うことができる。所得税のほかに、住民 税が減額されることがある。

確定申告の流れ

ここでは、確定申告の流れを簡単に説明する。

まず、確定申告書、収支内訳書、青色申告決算書(青色申告の場合)など必要書類を準備する。印鑑(認印でも可)、口座情報、帳簿、領収書、レシートなど作成に必要なものも準備する。

必要に応じて、医療費控除の明細書、社会保険料控除証明書、寄附金受領証明書、社会保険料控除証明書なども準備しておく。提出時に必要なものとして、マイナンバーカード(マイナンバー通知カード)、ICカードリーダーライター(e-Taxで送る場合)などがある。

次に、収入や必要経費を記録した帳簿を基にして、収支内訳書に1年間の売上金額、必要経費を記入し、内訳書を完成させる。

以上の準備ができたら、確定申告書を作成する。作成方法は、申告書に数値を手書きする、会計ソフトを使って作成する、税理士に依頼する、あるいは国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法などがある。

確定申告書ができれば、必要書類を税務署に提出する。提出方法には、持参する、郵送する、e-Taxを使って電子で送る方法などがある。

還付金を受け取る時期は、確定申告の方法によって異なる。例えば、税務署に直接提出あるいは郵送した場合、申告書に不備がなければ、還付金額と振込日を記載して通知が送られてくる。税務署が受理した後、1~2ヵ月程度で還付金が振り込まれる。

e-Taxを使って電子で送った場合は、確定申告書の送信後、e-Taxにログインをすれば、還付金額、支払予定日などの状況を確認することができる。送信後、3週間程度で振り込まれる。

還付金が発生するケース

還付金が発生するのは、次の7つのパターンがある。

1つ目は、多額の医療費を支払った場合の「医療費控除」である。計算式は、以下のとおりだ。

・医療費控除(最大200万円)=支払った医療費総額-保険金などで補填される金額-10万円

支払った医療費総額には、納税者の医療費はもちろん、納税者と生計を同じにしている配偶者や子どもなどが支払った医療費も含まれる。保険金には、民間の医療保険から受け取った給付金、健康保険から支給された療養費、出産一時金も含まれる。

所得額が200万円未満の場合、計算式にある10万円は「所得額×5%」の金額となる。例えば、所得額が140万円の場合、控除する金額は10万円ではなく、7万円(140万円×5%=7万円)となる。

医療行為に類似するものでも、医療費控除の対象外となるものもあるので、国税庁のホームページ「医療費控除の対象となる医療費」で確認しておこう。

2つ目は、災害や盗難に遭った場合の「雑損控除」である。控除額は、以下の2つの計算式のうち小さい金額となる。

・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

対象となる損額は、次のとおりである。

・震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
・火災、火薬類の爆発などの人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難、横領

3つ目は、ふるさと納税など、寄附を行った場合の「寄附金控除」である。控除額は、以下の2つの計算式のうち小さい金額となる。

・その年に支出した特定寄附金の額の合計額-2000円
・その年の総所得金額等の40%相当額-2000円

対象となる寄附金とは、国、地方公共団体、特定公益増進法人(一定の要件を充たす公益社団法人等)などに対して行った寄附である。

4つ目は、仕事上で一定以上の支出をした場合の「特定支出控除」である。

例えば、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(65万円限度)など、仕事上必要な支出が、「その年の給与所得控除額×1/2」を超えた場合に、給与支払者から証明書をもらうことで、控除を受けることができる。

5つ目は、住宅ローンを組んだ場合の「住宅借入金特別控除等」である。控除額の計算式は以下のとおりだ。

・住宅借入金等特別控除額(上限40万円)=年末の住宅ローン残高×1%

この控除制度は、床面積50㎡以上、所得金3000万円以下、ローンの借入期間10年以上などの要件がある。中古住宅の場合は、耐震基準、築年数の要件も満たさなければならない。

6つ目は、副業で赤字が発生している場合の「事業所得の損益通算」である。

例えば、副業で赤字が生じた場合は、本業の給与所得と損益通算することができる。損益通算とは、ほかの所得の赤字と合算して、所得額を減少させることである。損益通算の対象は、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得なので、例えばマンション経営をしている、あるいはほかの事業を行っている場合に赤字が発生すれば、還付金が生じることがある。

7つ目は、株取引で赤字が発生している場合の「譲渡所得の損益通算」である。

株式の売買で赤字が発生した場合には、配当所得と損益通算することができ、その結果として、配当金から源泉徴収された分を、還付金として受け取ることができる。

配当所得とは、株取引などを証券会社の「源泉徴収あり」の銀行口座で取引をしている場合、配当金を受け取る際に20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されるものである。

通算しきれなかった損失は、確定申告で最大3年間繰り越すことができ、翌年以降の株取引によって発生した利益から控除して計算することが可能である。

還付金の計算方法

還付金は、払いすぎた所得税を払い戻すものである。

所得税は、1年間の所得金額から各種の所得控除を差し引き、その金額に一定の税率をかけて、所得税の金額を算定する。税額控除がある場合は、先ほど算定した所得税額から税額控除を差し引き、納付すべき所得税の金額を出し、すでに源泉徴収されている源泉徴収税と所得税額の差額を計算する。これが還付金の金額となる。

還付金の注意点

還付金は、先ほども説明したように、1月1日から申告ができ、確定申告のように3月15日までという期限もない。また、申告ができる日から5年以内であれば、いつでも還付申告を行うことができる。

年末調整によって還付金を受け取る場合は、手続きは特に難しくない。ただし、年末調整だけで対応できない場合は、会社員であっても自分で確認する必要がある。